サンケン電気、頑張って 能登の底力を見せてください
サンケン電気の名前をこういう形で目にするとは思いもしませんでした。能登半島地震は北陸、新潟などで甚大な被害を与えており、死傷者、行方不明者は増え続け、さらに家屋倒壊、山崩れ、道路や鉄道の寸断など地域のインフラも大きく痛めています。サンケン電気は最大震度7が直撃した能登半島の石川県志賀町に本社を構える石川サンケンを抱え、志賀町、能都町で3工場が操業しています。
勤めていた新聞の金沢支局時代、志賀工場には足繁く通いました。石川サンケンは1978年に設立されていますから、ちょうど4年目の頃です。工場建屋は新しく、訪れた時は従業員のみなさんとも懇談しました。地域経済に深く根ざした工場だと実感し、こういう工場の集まりが過疎化対策などで効果があるのだと理解したものです。現在、石川サンケンは従業員数は1000人を超えています。能登の雇用状況を支えている存在だけに、地震の影響がとても心配です。
石川県には村田製作所、サンケン電気、加賀東芝エレクトロニクス、ジャパンディスプレイなどの主力工場がありますが、サンケン電気は村田製作所と並んで地域密着型の工場運営をしています。工場の立地先として能登を選んだ背景には人件費を抑え、製品の価格競争力を強化したい狙いがありますが、地域の雇用や経済に深く関わるため、短期的な収益追求よりも中長期的な視点に立った工場運営が主軸になります。
工場で働く従業員のみなさんも、農水産業の収入以外に安定した給与が得られるため、生産現場を疎かにすることはなんてあり得ません。企業、従業員それぞれのベクトルは石川サンケンの経営力の強さを生み出す方向で一致します。能登地方に点在する工場の特性の一つです。
地域密着型の工場運営は「村田製作所 研究開発は世界を睨み、生産は国内でじっくり煮込む 俊敏な変化も忘れない」(2023年12月25日、From to ZEROに掲載)でも指摘しましたが、サンケン電気の経営力の強さを生み出す源になっています。
サンケン電気は自動車や家電用、電話・パソコン・コピー機・ファクシミリ(FAX)・シュレッダーなどOA機器向けの電子部品を主力に生産しています。半導体は産業のコメといわれますが、サンケン電気の製品は日常生活を豊かに暮らすうえで欠かせないものばかりです。工場に支障を来せば、多くの製品生産にも影響が出るかもしれません。
サンケン電気は1月5日現在、地震の影響をホームページに公表しています。そのまま転載します。
1月1日 (月) に発生した石川県能登地方を震源とする地震 (令和 6年能登半島地震)
の影響について第三報として、以下のとおりお知らせします。
震源に近い石川サンケン株式会社の生産拠点(堀松工場、志賀工場、能登工場)にお
ける最新の確認状況は次のとおりです。
1. 人的被害について
① 従業員等の安否確認を進めていますが、まだ全員の安全が確認できていませ
ん。通信インフラが改善していない地区があるため、引き続き最優先で確認
を行っています。
② 自宅の損壊等により避難している従業員も多数いるため生活物資の支援を
行っています。
2. 工場被害について
① 建物の倒壊はありませんが、被害状況については継続して調査を進めていま
す。ただし、地震の規模が大きかったことを勘案し、一部の建物に対し専門
家による安全確認を行います。
② 生産設備について、地震による影響の有無を確認している状況です。
一部設備においては修復が必要な箇所も判明しており、引き続き確認を進め
ていきます。
③ 電気の供給について、堀松工場・能登工場は問題ありませんが、志賀工場は
停電状態にあり、電力会社と復旧に向けて協議しています。この状況から、
志賀工場の被害確認には一定の時間を要する見込みです。
3. 復旧活動について
サンケン電気本社及び他地域の拠点から復旧支援チームを派遣し活動してい
ます。また、1 月 6 日より更に支援チームの増員を行って被害確認を進め、
早期復旧に向け対応してまいります。
石川サンケンの復旧を信じています。再び能登の未来を生み出す底力となってください。