下請けいじめ最低評価タマホームが連覇、飯田、一条、オープンハウスなど住宅がずらり 自治体では兵庫県が最低
大手住宅メーカーのタマホームが経済産業省が公表する「下請けいじめ」の企業ランキングで2回連続で最低評価に。続いて飯田グループホールディングスの一建設、オープンハウス・ディベロップメント、一条工務店など住宅メーカーがずらりと並びます。他業種では家電販売のエディオン、ソフトバンクなど。いずれの企業もテレビ広告を盛んに流す有名企業ばかり。売り上げ至上主義を貫きながら、稼ぐためには中小下請けから利益を巻き上げるしかない。こんな単純な経営が今でも通用するなら、大企業の経営はなんて薄っぺらい。
最低はタマホームと美和ロック
「下請けいじめ」ランキングは経産省の中小企業庁が2021年9月から「価格交渉促進月間」と称して毎年9月と3月時点の内情を公表しています。中小企業が価格転嫁できる取引環境を整備するため、「下請けいじめ」を続ける企業に対する厳しい評価を世間に晒し、是正を促すのが目的です。今回の調査は2024年9月時点で、5万社を超える中小企業の回答をもとに作成。下請けとして取引する企業との価格交渉、価格転嫁を10点満点で4段階に分けて評価し、リスト化しました。このうち公表したのは下請け企業10社以上から「いじめ」と認識された211社、6自治体。
最低評価は2社。大手住宅メーカーのタマホームと鍵メーカーの美和ロックです。タマホームは下請け企業19社から価格交渉で「0点未満」、価格転嫁で「4点未満、0点以上」の評価が下されました。端的に言えば、交渉する気持ちは感じられません。タマホームの広告では松平健さんが金ピカの着物姿で「ハッピーライフ、ハッピーホーム」と歌い、「品質も、価格も、叶う家」をキャッチフレーズに掲げていますが、取引条件でハッピーなのはタマホームだけのようです。美和ロックは11社から最低評価を下されました。両社に共通するのは、価格交渉で0点未満の評価。10点満点で0点未満という評点自体が理解できませんが、交渉現場はどんな空気なのでしょうか。怖い!?。
国内トップを自負する飯田グループも
価格交渉0点未満では、飯田グループの一建設も同じです。飯田グループは分譲住宅の国内シェア30%を握り、1日100棟を建設していると胸を張りますが、子会社の一建設は10社から0点未満と評価されました。飯田グループに負けず劣らず快進撃する一条工務店は36社から価格交渉も価格転嫁も「4点未満、0点以上」。多くの下請け企業が涙を飲んでいるのでしょう。
同じ住宅産業のオープンハウス、旭化成ホームズ、日本総合住生活も一条工務店と同列。住宅以外ではソフトバンク、西濃運輸、吉野工業所、日本郵便が登場します。ソフトバンクは以前、かなり低い評価を下されたこともあって改善に努めてきましたが、再び下請けいじめの上位に浮上。運輸業は住宅と並んで評価が低い産業です。日本郵便は22社から低い評価を受けています。直近、下請け企業の評判が悪いヤマト運輸と取引内容で訴訟を起こしていますが、日本郵政公社時代から引きずる体質もあって、取引条件の交渉が苦手なのかもしれません。
経産省は法改正で改善を徹底へ
半年前の2024年3月時の調査結果と比較すると、下請けいじめの企業体質はそう簡単に改善できないことがわかります。2024年3月に公表したランキングでは最低評価がタマホーム、エディオン、一条工務店の3社。下請けいじめを指摘した企業数はタマホームが13社、エディオンが11社、一条工務店が26社。半年後の9月ではタマホームが13社から19社へ、一条工務店が26社から36社へ10社も増えています。中小企業庁はランキング公表による取引改善を期待していますが、タマホームと一条工務店については無駄だったようです。
今回初めて国や地方自治体も公表されました。国土交通省、島根県、福岡県、熊本県、東京都、兵庫県の6国・地方自体です。兵庫県を除く国交省と4都県は価格交渉「7点以上」、価格転嫁「7点未満、4点以上」の評価でした。兵庫県も価格交渉は7点以上でしたが、価格転嫁は下から2番目の「4店未満、0点以上」。知事のハラスメントが話題になっただけに、なんとなく納得してしまいそうです。
経産省は今後、法改正を通じて価格転嫁を徹底していく方針だそうです。