
下請けいじめ ③ オープンハウス、飯田G・一建設、一条工務店など住宅は相変わらず低評価
「下請けいじめ」の常連組は相変わらず低い評価のままでした。オープンハウス、飯田グループ、一条工務店など住宅建設の会社名が連なります。いずれも割安な戸建て住宅を主力商品に掲げ、成長を続けています。低価格の源泉が下請け企業からの利益収奪なら、その企業評価はどんなに株価や収益力が高くても、低評価に変わりはありません。
住宅は常連組
経済産業省の中小企業庁が2025年3月現在の取引状況を公表した「下請けいじめ」調査は、2021年9月から毎年9月と3月の2回、発注企業の下請け企業に対する価格交渉・価格転嫁の実情を定期的に公表しています。25年3月は新しく「支払い条件」を加え、現金、手形、電子などの利用で手数料を負担させているかどうかも精査。各項目の評価は下請け企業による採点で4段階に分かれ、7点以上がア、7点未満4点以上がイ、4点未満0点以上がウ、0点未満がエと分類されています。
過去、最低評価を受けている企業の中で相変わらず低い評価にとどまっている企業をみてみます。
住宅・建設で急成長しているオープンハウスの建築会社、オープンハウス・アーキテクトは価格交渉と価格転嫁でウ。支払い条件はア。半年前の2024年9月時点では同じオープンハウス傘下のオープンハウス・デベロップメントが価格交渉と価格転嫁ともにウ。企業名は異なりますが、オープンハウス全体の評価としてみると、4点未満0点以上のウ。最低ラインから改善していません。
価格交渉・転嫁は改善せず
分譲住宅で国内シェア30%を握る飯田グループホールディングスの一建設は価格交渉はア、価格転嫁はイ、支払い条件はエ。半年前の評価は価格交渉が0点未満のエ、価格転嫁はイ。中小企業庁から最低評価を公表されたことが背中を押したのでしょう。価格交渉は7点以上に大躍進。ところが価格転嫁は変わらず。なんと新たに加わった支払い条件は0点未満の最低評価。価格交渉で改善した姿勢を見せようと努力したのでしょうが、結局は肝心の支払いで下請け企に費用負担させている実態が露になっています。下請けいじめを是正しようと努力したものの、収益計算の最終段階で数字の辻褄わせのために支払い費用を押し付けたのでしょうか。
オープンハウス、飯田に負けず快進撃を続ける一条工務店も、オープンハウスと同じ。価格交渉、価格転嫁ともに半年前の調査と同じウで、支払い条件はア。建築基準法違反の施行が問題となったレオパレス21もオープンハウスと一条工務店と同じ低い評価。
3社とも支払い条件が7点以上のアの評価ですが、オープンハウス、一条工務店、レオパレス21は支払う手前の価格交渉・転嫁で下請けに厳しい注文を押し付けるため、支払いで費用負担を押し付ける必要がないのかもしれません。このアの評価は割り引いて見た方が良いかも。
住宅・建設は中小企業庁の調査を見る限り、「下請けいじめ」のコアメンバー。2024年9月の調査ではタマホームが公表された企業リストで最低評価の1社でした。価格交渉で0点未満のエ、価格転嫁で4点未満0点以上。かなり酷い。タマホームの広告は松平健さんが金ピカの着物姿で「ハッピーライフ、ハッピーホーム」と歌い、「品質も、価格も、叶う家」をキャッチフレーズに掲げる派手な内容ですが、下請け企業から巻き上げた金ピカの企業は直視できません。
オープンハウス、一建設、一条工務店などはタマホームほど最低ではありませんが、弁解できるレベルでもありません。
大東建託は改善に努力姿勢
名誉挽回に努めている会社はあります。大東建託は価格交渉がア、価格転嫁がイ、支払い条件がア。半年前の調査は価格交渉がイ、価格転嫁がイでしたから、交渉する姿勢は改善しています。
低評価を公表された住宅メーカーはテレビ広告を盛んに流す有名企業ばかり。急成長、大躍進、高いシェアを謳いながら、その陰で下請けの中小企業から利益を巻き上げている現実はとても寂しい。取引関係が弱い下請けから利益を得る「足し算引き算」の経営を繰り返していたら、かならず帳尻が合わず自らの利益を失う羽目になります。