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スバル・ソルテラ 2度目のリコール トヨタの運転支援機能が提携を迷走

 スバルのソルテラが2度目のリコール です。2022年5月12日に発売してから4ヶ月過ぎていませんが、最初のリコール が6月23日、2度目は9月1日にそれぞれ発表されました。ソルテラ は提携先のトヨタ自動車と共同開発した電気自動車(EV)で、走行性能の大半はトヨタが主導し、トヨタの工場で生産しています

 最初のリコール はタイヤとシャーシーを結合させるハブボトルで、ボルトが緩みタイヤが外れる恐れがある深刻な技術問題です。2度目は運転支援機能やディスプレーオーディオ、電動パーキングの不具合。スバルにとって致命的なのは、自社でアイサイトという世界的評価されている運転支援機能を保有しているにもかかわらず、トヨタの運転支援機能を採用した結果がリコール を招きました。スバルの技術陣が歯軋りしている風景が目に浮かびます。

最初はハブボルトのリコール でタイヤ脱輪も

 ソルテラ はスバルにとって初めての電気自動車です。しかも、トヨタとの本格的な共同開発車。スバルらしさは得意の四輪駆動(4WD)を生かした走りの味付けぐらいで、車の基本性能はトヨタに100歩譲って任せています。月間150台が目標で、累計500台を受注したと発表していましたから、2度のリコール のケアは丁寧にできるでしょう。しかし、発売当初から2度のリコールで「水平対向エンジンだけじゃないスバル」をアピールしようとしていただけに、このエンストはかなり痛いはずです。

 当然、ソルテラ の兄弟車であるトヨタの「bZ4X」も6月と9月のリコール対象です 。トヨタのリコール情報 をみると、「令和3年から令和4年に生産したノア、ヴォクシー、bZ4Xの一部車両」と表現していますから、ソルテラ とbZ4Xの共同開発上の支障というよりは、トヨタの運転支援機能の設計に不具合があったのでしょう。

トヨタとの力関係が共同開発を左右?

 スバルユーザーからみれば、「信頼性の高いアイサイトをそのまま搭載していればよかったのに」という素朴な疑問が湧きますが、トヨタ・スバルの提携の力関係からトヨタのシステム採用となったのでしょう。

 ちなみにリコール対象のレーントレーシングアシストとは、クルーズコントロールを作動している間、走行車線を守るようハンドル操作を支援するシステムで、トヨタのリコール情報では「制御プログラムが不適切なため、ハンドル舵角の中立位置のずれにより、LTAでのハンドル操舵の補正が不足するものがあります。そのため、カーブと車両速度の状況によっては、早期に警報が作動して、運転者による操舵が必要となり、保安基準第11条(かじ取り装置)に適合しないおそれがあります」と説明しています。

アイサイトの力で独自の生き残りを

 スバルの強さは水平対向エンジンを主軸に他社を圧倒する4WDに象徴されます。同じ水平対向エンジンを特色とするポルシェも電気自動車へシフトし始めています。脱炭素に走る世界の自動車メーカーのなかでスバルは残念ながら、独力で電気自動車を開発、生産する余力はありません。トヨタは良き支援者であるはずでした。

 ハブボトルのリコール で脱輪しかかっているスバルとトヨタの提携。運転支援機能のリコール で目標に向かって安心して走行できるかどうかもわからなくなりました。提案します。自らのアイサイトを信頼してスバルの道を走ったらどうですか。世界の自動車メーカーの中でかならず生き残る実力がまだ残っています。

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