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東芝はだれのものか?2分割は否決でもすべてバラバラに 三菱自と同じ道へ

東芝を2分割にする提案が3月24日に開催した臨時株主総会で否決されました。東芝は今回の臨時株主総会は株主の意見を確認するのが目的で法的な拘束力はないと説明、2023年の定時株主総会で拘束力のある決議をはかるとしています。東芝を巡る経営のごたごたは、かつて三菱自動車がリコール隠しや排ガス不正データなど倒産寸前に追い込まれた事件と重なってきました。三菱自動車は三菱財閥がなんとか延命しましたが、その後はスリーダイヤモンドを守る会社として存続しているだけです。東芝のごたごたはまだ続きそうです。東芝社員の思いはもうズタズタです。経営や投資家に改めて問いたいです。会社はだれのものでしょうか。1年後に見る東芝は心身ともにバラバラになっているのでしょうか。

もう壮絶という言葉が適切かと思います。ここ数年間の東芝の経営の混乱ぶりはもう説明することもないでしょう。3月24日の臨時株主総会の経緯も変わりはありません。東芝の経営改革案は当初3分割案が提案され、突如として2分割案に変更。「物言う株主」と言われる株主からは非上場の提案が後から加わりました。結論はすべて否決。臨時株主総会に至るまでの中途で、突然の社長交代もありました。法的な手続きに沿って進めているのでしょうし、投資家保護の視点から見ても問題はないのでしょう。

東芝が存続する価値は何か

最大の疑問が残ります。東芝はなぜ存続する必要があるのでしょうか。歴代社長の無責任な蛮行と嫉妬を起因とする経営の混乱を切り抜けるため、稼ぎ頭の半導体事業を売却してまた買い戻したり。将来性が最も期待されていた医療事業はキヤノンに売却しました。デジタルカメラなどで勢いを失ったキヤノンは、いまやメディカル事業を新たな成長エンジンに経営を組み替え、テレビCMなどで盛んにPRしています。工作機械の名門である東芝機械の株式売却、白物家電や映像、ノートブック市場を創造した「Dynabook」のパソコン事業などなど。高く売れるものを売って残ったのが今の東芝です。

もちろん、現在の東芝には都市インフラなどを支える事業、原子力を軸にした発電のエネルギー事業など日本経済にとって重要な事業を多くあります。明治以来、日本の産業の屋台骨を築いた技術と経験を数多く抱え、それは日本にとっても貴重な財産です。福島第一原発の廃炉はじめ軍事防衛、都市インフラなど派手ではありませんが、日本の未来を基礎固めするために欠かすことができない事業と技術力ばかりです。さらに半導体事業。最新技術をてこにした軍事力の拡大を背景にアジア太平洋で存在感をさらに高めている中国に対抗するため、米国などと協力して半導体産業を再び拡大する動きが加速。世界経済の視点からみても安全保障の重要なテーマとして急浮上しています。

しかし、今回の臨時株主総会を迎えるにあたって、東芝の事業価値についてどこまで議論されたのでしょうか、疑問です。株主還元を掲げて3000億円を捻りだせるからといって会社を3分割から2分割に切り替えた経営改革の提案は、多くの株主から「そんなことまでして株主還元することはない」と否決されてしまいます。突然の社長交代も不思議です。もう何年も社長の顔が繰り返し変わりましたが、社長が交代したから何が変わったのかさっぱりわかりません。

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