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団地の解体工事

東芝はだれのものか?2分割は否決でもすべてバラバラに 三菱自と同じ道へ

まるで三菱自動車の混乱をなぞるよう

まるで2000年代の三菱自動車の経営をなぞっているようです。リコール隠しや不正データなどの事件を発端に元社長が逮捕され、ダイムラー・ベンツとの資本提携に翻弄され続けました。挙げ句の果ては、トラック・バス事業をダイムラー・ベンツに割安に買い取られてしまいます。パジェロなどヒット車種は消えていき、日産自動車・ルノーとの提携で存続する道を見つけました。銀行や商社、重工など三菱財閥系のグループが総力を上げて資本注入して一度は息を吹きかけしますが、その後の経営の混乱に銀行などはもう支援に手出すことはないと腹を決めるほど。社名と事業名を差し替えれば、東芝はほぼ同じ道のりを辿っているかのようです。

1980年代、「会社はだれものか」という連載企画を執筆したことがあります。日本企業が米国を中心にした輸出した時代から、米国やアジアなどで現地法人を設立して地元に腰を据えて事業を拡大する時代の変わり目でした。日本語と日本国内でしか通用しない常識に囚われずに、いかに米国など現地の人々と事業を運営する一方、欧米流の経営の常識を取り込み、日本企業の経営そのものが多国籍化できるかを考える企画でした。いわゆるステークホルダー、会社や事業との利害関係者をどう認識して会社経営を進化させるかが問われていた時代でした。

それぞれの会社には未来のために存続する使命がある

あれから30年以上の年月が経過しました。今回の東芝でも、「物言う株主」という冷静に考えると奇妙な呼称が付いた株主がなんども登場し、経営改革の議論に顔を出します。しかし、会社は株主だけのモノではありません。といって1970年代の日本のように会社と従業員のことだけを考えていればなんとか経営できる時代が良いわけではありません。東芝など優秀な技術とヒトを抱える会社は、未来のために存続する使命を持っているのです。例えば原発の廃炉。福島だけではなく、他の原発、さらに世界で増え続ける原発を安全に廃炉処理する技術を日本は持っています。半導体など精密加工技術に関しても日本は最先端を走っています。

「会社がなんとか存続するにはどうすればよいのか」「株主にとやかく言われずに済むには?」。目先の処理だけに目を奪われている東芝をめぐる経営の議論はもう終わりにしましょう。

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