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豊田通商 ソフトバンクの太陽光買収 トヨタGのカーボンニュートラルでも白馬の騎士に

 豊田通商がソフトバンクグループの太陽光発電会社SBエナジーを買収ししました。これまで注力していた風力に太陽光を加えると、いずれも国内最大規模の発電事業者になるそうです。筆頭株主のトヨタ自動車はじめグループ企業は地球温暖化への対応を急いでいますが、電気自動車の開発などCO2排出を抑制する事業転換は出遅れ気味。豊田通商は一線を画すかのように加速していました。どうやらトヨタグループのカーボンニュートラルを手助けする「白馬の騎士」を演じることになりそうです。

風力、太陽光でともに国内最大級

 買収するSBエナジーは2011年3月11日の東日本大震災をきっかけに、ソフトバンクの孫正義氏が自らぶち上げた太陽光発電の事業会社です。多くの企業と組みながら全国各地に発電施設を建設しており、発電能力は日本トップクラス。豊田通商とソフトバンクは再生エネルギーの普及の鍵となる送電や蓄電など電力需給の調整でも協力していくそうです。

 商社が発電事業に注力しているのは珍しいことではありません。丸紅は発電事業の自由化に合わせ、拡大して「商社なのか電力会社なのか」といわれていました。豊田通商も1987年から米国で風力発電を手がけるなど国内外で風力を軸に発電事業を拡大。気候変動問題でカーボンニュートラルが喫緊の課題になってからは、2030年までにカーボンニュートラルに関する事業投資として1兆6000億円を設定しています。

アフリカの経験が独自の強みに

 豊田通商の強みを一言で表現すれば、アフリカ。トヨタの輸出基地として南アフリカを拠点に構え、日本企業として早くからアフリカで自動車以外でも資源開発や発電事業を拡大しています。21世紀後半で最も経済成長すると期待されるアフリカでは他の日本企業を圧倒する存在感を持っています。

 この経験とノウハウがカーボンニュートラル関連の事業化で発揮されます。アフリカ大陸の各国は経済発展の途上であり、カーボンニュートラルへの対応はまだ初期段階。通常の電力関連のインフラストラクチャーが乏しいため、風力や太陽光など再生可能エネルギーを活用するとともに、電力需給の変化に対応できるよう送電網や大型の蓄電施設などのネットワークを構築する必要があります。すでにゼロから発電施設、送電、蓄電のネットワークを立ち上げるノウハウは、日本国内でも北海道北部で応用されています。

出遅れ気味のトヨタの背中を支える

 豊田通商は自らの事業拡大を狙って取り組んでいるわけですが、結果的にトヨタグループのカーボンニュートラルを手助けすることになります。トヨタといえば電気自動車(EV)の開発に目を奪われがちですが、EVを普及させるために最も重要なのは充電スタンドなど電気を供給するインフラ網の充実です。EVがこれまでのガソリン車のように使い勝手の良い移動体に進化するには欠かせません。

 カーボンニュートラルはCO2の排出を抑制するだけではありません。従来、工場などで使用していた電力の源が化石燃料を使わず、太陽や風力による再生可能エネを利用したかどうかまで問われる時代です。アップルなど世界的企業は、調達する部品の生産などに使用するエネルギーが再生可能エネでなければ納入を認めない方針を貫いています。

工場、充電スタンドなどインフラの基盤を支える

 世界第1位の自動車メーカーであるトヨタがEVの車種を増やし、販売台数を拡大させたからといってカーボンニュートラル達成とはいかないのです。

 ここで出番が訪れます。豊田通商が「白馬の騎士」として勇躍して登場します。豊田通商はアフリカ、北米や北海道などで積んだ経験を活かし、発電から小売まで一貫したインフラ構築を実現できる体制を構築しています。再生可能エネによって自動車などの工場が運用でき、そこから生産されたEVが充電するスタンドの供給も賄う。カーボンニュートラルからカーボンゼロへの道筋も見えてきます。

 「本当にカーボンニュートラルを実現できるのか?」トヨタグループに対する不安を一掃する豊田通商の役割を見落とすわけにいきません。

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