
ロッテリアがゼッテリア マックを追いかけ、モスに蹴散らされ、自分探しに終始
ゼンショーホールディングスがハンバーガーチェーン「ロッテリア」を2026年3月をめどに閉店し、全店舗を「ゼッテリア」にブランド転換します。ゼンショーは2023年にロッテリアを買収し、一部店舗の名称を「ゼッテリア」に変え、運営しています。ゼンショーは経営不振企業を買収して抜本的に経営改革するのが常道ですから、ロッテリア消滅は時間の問題でした。
消滅は時間の問題だった
日本の外食産業にとって、ロッテリアは老舗ブランド。1972年にロッテグループのファストフード事業として創業、1980年代は日本マクドナルドに次ぐ全国第2位のバーガーチェーンに急成長しました。本来なら、「マック」と「ロッテリア」は2大ブランドとして輝いているはずでした。そのロッテリアに消滅する末路が訪れるとは・・・。
もっとも、1980年、運良く経済新聞の新人記者としてロッテリアを取材して以来、45年間にわたってバーガーチェーンの栄枯盛衰を眺めてきましたが、54年間続いてきたロッテリアが消えても寂しいという思いは湧きません。
「ロッテリアが絶対に必要」といったブランドに対するロイヤリティ、言い換えれば愛着心、忠誠心が浮かばないのです。マーケティング、メニュー開発などを思い出しても、常にマクドナルドを仰ぎ見ながら新製品を投入するため、ロッテリアの個性はいつも曖昧。
味は「マック」に負けないおいしいバーガーを揃えているものの、なぜか二番煎じ、後塵を拝するイメージが付き纏います。マックと同様、店舗数をどんどん増やして全国各地に展開している時でさえ、お客さんは「マック」が見つからないから仕方なく「ロッテリア」を選んでしまう。マクドナルドがあるからこそロッテリアも目立つ。「マック」の美味しさを引き立てる役割から抜け出せません。
バーガーチェーンで埋没
その存在感の薄さはモスフードの追い上げでさらに際立ちます。モスフードはバーガーチェーンでありながら手早く提供するファストフードの経営モデルをあっさり捨て、時間がかかっても手作り感をアピールするマーケティングで快進撃。店舗も出店費用を抑えるため、人通りの多い地価が高い立地を見送り、あえて安価な繁華街や住宅街を選びます。「ファン作り、集客に時間がかかりますが、お客さんのハートを一度を掴んだらリピート客に変身させる」。創業者の櫻田彗さんは迷いを見せずに、モス独自の経営を貫きます。
日本マクドナルド創業者の藤田田さんはロッテリアを全くライバルとみておらず、「そんなチェーンは知らない」とまで無視していました。ところが、まだ小規模なチェーンだったモスフードについては「今後、どう展開するのか注目している」と明言していました。ロッテリアがゼッテリアに転換する今、藤田さんの慧眼に脱帽するしかありません。
ロッテリアの最大の弱点はロッテグループの外食事業であることが足枷になったこと。ロッテは日本と韓国を拠点に菓子や外食など食品事業にとどまらず、ホテル、不動産、球団など多岐にわたる事業を国内外で展開しています。
外食産業が成功するためには、他を寄せ付けない強烈な個性、ブランド力が必須ですが、巨大企業グループであるがゆえにロッテリアでしか成し得ない大胆なマーケティング戦略を選択できませんでした。確実に収益を確保できる堅実な戦略に終始していたら、埋没してしまう。わかっていても、軌道修正できません。ファーストリテイリング社長などを経てロッテに転身した玉塚元一社長ですら、突破口を見出せません。
サイゼリアの強さは他を圧倒する安さ
最近のバーガーチェーンを例に見ても、米国発の「バーガーキング」は価格は高くても肉厚のバーガーで満腹感を楽しめるとして人気を集めています。ファミリーレストラン「サイゼリア」はどうでしょうか。安くて美味しいイタリア料理を提供するビジネスモデルは、他のチェーンを寄せ付けず、日本のみならずデフレ下の中国で大繁盛しています。
ゼンショーがロッテリアを「廃業」するのも頷けます。「すき家」など多くの外食チェーンを傘下に収め、ブラック企業の批判を浴びながらも経営不振の店舗を復活させてきています。好き嫌いはあるでしょうが、ゼンショー創業者の小川賢太郎氏は妥協を許さない収益重視の店舗運営とメニュー開発を傘下の企業を求めています。マクドナルド、モスフードなどバーガーチェーンの中ですら埋没してしまうロッテリアの居場所はすでになかったのです。

