
倶知安町の固定資産税、外国人が日本人を上回る過半超に 国際リゾートへの滑走を加速
北海道の倶知安町で外国人が納付した固定資産税が日本人を初めて上回りました。2024年度決算によると、外国人の固定資産税納付額が12億8300万円。日本人の納付額11億4700万円を1億4000万円近くも上回ったのです。町の固定資産税は24億3100万円ですから、外国人の納付額は52・8%と過半を超えました。
外国人の納付額は12億円超
倶知安町はヒラフなど国際的なリゾートとして世界から高い人気を集めるニセコ地域を抱え、外国人投資家による不動産取得が続いています。高級ホテルやリゾートマンションが次々と建設されているので、いつか現実になると予想していましたが、実際に外国人の納付額が大きく上回る数字を目の当たりにするとやはり驚きます。しかも、世界から集まるスキー客や観光客が落とすマネーを含めれば、倶知安町を軸にした地域経済を押し上げる効果はさらに拡大します。
初めて倶知安町を訪れたのが50年以上も前。以来、素晴らしいパウダースノーと広大なゲレンデにハマり、通っていますが、この10年間の変化は驚異的であり、脅威的でもあります。
現在のブームの火付け役であるオーストラリア人と会ってニセコの将来を雑談したのが10年以上も前ですが、まだヒラフ周辺は建物がポツポツと立っている程度。ところが、オーストラリアから押し寄せたスキーヤーやボーダーに欧米、中国などアジアの観光客が加わり、その人の波を追うように海外からのマネーがどんどん押し寄せ、ホテル、ペンション、リゾートマンションが立ち並び始めました。現在は違法な開発工事が散見されるなど嵐に襲われた気分です。
この20年間の変貌は驚異であり、脅威
観光客数はこの20年間、コロナ禍を除けば400万人程度で推移していますが、中身がどんどん変わります。冬季の観光客は外国人が圧倒に多く、現在は70万人近い宿泊人数のうち82・6%が外国人。ニセコは世界的なリゾートとして評価されていますから、富裕層の比率が高くなるばかり。円安も手伝って、一泊10万円なんて気にならない客が増えています。50年前から通う日本人にとって、もうニセコが手が届かない遥か彼方の天空のスキー場になってしまいました。
冬季リゾートの経済的なインパクトは計り知れません。倶知安町の国際化に拍車がかかっています。ホテル、レストランで英語、仏語、中国など多国籍言語が飛び交うわけですから、サービスするスタッフも多国籍言語を駆使する人材が欠かせません。
人口動態をみてください。2025年11月末現在の人口は16013人、世帯数は9901ですが、このうち外国人は2943人、2629世帯とぞれぞれ18%、26・5%を占めます。実は1ヶ月前の10月末は14546人、8458世帯。わずか1ヶ月間で1467人、1443世帯も増えており、増加分のほとんどは外国人。外国人の雇用などが増えているのが鮮明にわかります。もちろん、日本人の雇用も英語は必須。JR倶知安駅からニセコに向かう観光客の多くが利用するタクシーも運転手さんには英語力も求められますが、高収入も保証されます。
白馬村や富良野市の先行きを占う指針に
北海道中央部にある砂川市の市議がブログで嘆いています。砂川市は倶知安町とほぼ同じ人口規模ですが、基準地価は10分の1以下。全国トップの上昇率が続いた倶知安町にかなうわけがありません。土地価格の差がそのまま反映され、固定資産税の納付額は8億5900万円と倶知安町の3分の1にとどまります。市議の嘆きは止まりません。隣接するスキー場はパウダースノーには変わりはないのに、最近は通り越して富良野が人気らしいと続きます。
オーストラリアから訪れたスキー愛好家らによって始まった国際リゾート化は、倶知安町を全国でも突出した自治体に成長させました。長野県白馬村や北海道富良野市なども海外マネーが押し寄せています。倶知安町は人口減に苦しむ日本の自治体をどう変えるのか。その指針になるのでしょうか。

