大阪万博ほど筋は悪くありませんが、JR東海が進めるリニア中央新幹線構想もかなり危うい状況です。東京・品川と名古屋間を最速40分、東京・品川ー新大阪間は最速67分で結ぶ「平成の夢の超特急」です。東京、名古屋、大阪都市圏の人口は6600万人以上ですが、リニア新幹線が完成すれば通勤圏に変わるインパクトを持つビッグプロジェクトです。

 こちらはリニア新幹線が通過する静岡県の川勝知事が地下トンネル建設などから発生する環境問題など重視し、県内の工事区間の着工を認めていません。東海道新幹線の駅が少なく、リニア新幹線の駅がないなどを反対理由と考えていると向きもありますが、川勝知事が危惧している通り、静岡県のみならず周辺地域の地下水、温泉、水源などの環境調査を徹底し、自然破壊を極力抑えるのが本筋です。

ネット時代に乗り遅れたリニア新幹線

 リニア新幹線の費用対効果を考えれば一目瞭然です。リニア新幹線の東京ー大阪間の建設費は9兆円。国家プロジェクトとして財政投融資資金が投入されるのですから、JR東海の経営計画の枠を超え国全体の利益が創出できるかの視点からチェックするのが当たり前です。東京ー大阪間を1時間ちょっとで結ぶのは確かに速いですし、従来の時空の観念を覆すインパクトがあります。

 しかし、インターネットが生活・ビジネスのインフラとなり、時空を超えた移動は瞬時で済む時代が訪れようとしています。コロナ禍の経験もあって、東京からわざわざ出張するまでもない案件はネットを介した会議や情報のやり取りで終えるのがビジネスの常識になりました。東京ー名古屋、東京ー大阪を最速で結ぶ電車は、途中停車はしません。利用客はビジネスか観光客といっても、時間に追われるようにスケジュールをこなす場合に限られます。トンネルを走るので途中、車窓からの観光はほぼ無し。

 自然環境は破壊されれば元に戻すには壮大な時間がかかります。自動運転で移動する電気自動車、空飛びタクシーなど近未来のモビリティがもう目の前に見えている時に、昭和の新幹線に代わる平成の新幹線が現れても、ネット時代に乗り遅れたと言わざるを得ません。

 北大西洋を結んだ音速旅客機「コンコルド」を思い出してください。航空費の高さもあって、結局は事業採算が合わず失敗に終わりました。リニア新幹線の料金はどう考えても東海道新幹線より高くなります。すでに2時間ちょっと結ばれている東京ー大阪間を半分の67分で到着できるメリットはどのくらいあるのか。費用対効果を考えたら、コンコルドの二の舞になるかもしれません。

リニア新幹線

 しかも、乗降時間も半端なくかかります。リニア新幹線は地下40メートル以上の大深度を利用します。地権者と用地・補償交渉する必要がないためで、品川、名古屋、大阪の各駅も40メートル以上の地下に建設されます。駅に到着しても地上に出るまでの時間は果たしてどのくらいかかるのか。東京の大江戸線を利用すればすぐにわかりますが、結構長いエスカレーターを利用して上り続けます。東海道新幹線に比べ半分の時間で到着しても、地上に出る頃はさどっちを利用してもほどほぼ同じ時間が経過しているでしょう。

東京ー大阪を短時間で往復するメリットは?

 それよりも、もう東京ー名古屋ー大阪を短時間で往復するメリットがどのくらいあるのかを考える時期です。ネット環境にもっと投資して、移動する時間と電車などが消費するエネルギー、さらに人間の労力を減らす方が賢い選択ではないでしょうか。リニア新幹線もやはり昭和の成功体験から生まれたアイデアです。平成か令和か不明ですが三大バカ査定の2つ目に選ばれるかも知れません。

 それでは3番目は何か?経済力の衰退が不安視される日本です。もう3番目のプロジェクトを選ぶ余裕はありません。あきれる査定は2つで十分です。

◼️ 冒頭の写真は大阪・関西万博のホームページから引用しました。