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自民も公明も選挙ポスターは意味不明

自民党総裁選 カーボンコピー再び?いえいえカーボンがゼロ、政治にイノベーションは無し

 自民党総裁選が始まりました(注;2021年9月17日告示、29日開票)

 四人の候補が日本の将来像をどう描いているのか。期待しましたが、いずれも過去の政策、議論の蒸し返しが目立ちます。突然、退陣表明した菅首相は昨年9月、こちらも安倍首相の急な退陣を受けて立候補したこともあって官房長官を務めていた前政権を踏襲する形で自民党総裁に当選しました。

 今回の総裁選はコロナ禍で立ち往生した菅首相が「コロナ対策に専念する」というよく理解できない説明で退陣表明したわけですから、さすがに前任者を踏襲する政策論議を望んでいた人は少なかったはずです。しかし、4候補が説明する自らの政策はこれまでの政策の修正、あるいは時間軸を戻すかのような時代遅れの議論が多いのです。

 過去1年間地球温暖化対策としてぶち上げだ「カーボンニュートラル」の成長戦略に触れていません。政治リーダーのカーボンコピーはもう結構と以前に書きました。今回の自民党総裁選では大半の政策はカーボンコピーしながら、肝心の脱炭素に向けた日本経済の大改革についてはゼロ、言い換えればカーボンがゼロになってしまいました。

 麻生副総理は河野太郎氏が立候補する際に「次期政権は短命なので待て」と助言したとの情報もありましたが、破れたズボンに端切れをつぎはぎしただけで乗り切れると思われたのでは日本国民としては残念です。福沢諭吉は「学問のすすめ」で「西洋の諺に愚民の上に苛き政府ありとはこの事なり。こは政府の苛きにあらず、愚民の自から招く災なり。愚民の上に苛き政府あれば、良民の上には良き政府あるの理なり。故に今我日本國においても此人民ありて此政治あるなり」と書きました。改めて自戒しなければいけません。

 カーボンコピーの典型例として取り上げたいのは、自民党員のあいだで最も人気が高い河野太郎さんです。総理大臣になるかもしれませんからね。政策としては本人が会見などで強調した年金改革です。社会保障分野で「守るべきは年金制度でなく年金生活」と訴え、「最低限の年金額を保障するためには基礎年金の財源として消費税を使う」という改革案を示しています。

 日本記者クラブが9月18日に開催した4候補が参加した公開討論会でも、河野さんは年金制度改革について「構造的に今の保険料の制度では、最低保障の年金が出せないことは明らかだ。一定以上の所得や資産がある人には、最低保障の部分は払わないということにするしかない。抜本的な改革をやらなければ若い人の将来の年金生活が維持できない」と発言しています。

 年金制度はとても身近なテーマですが、一般的には制度が理解しづらいので複雑怪奇に映ります。だからこそ、わかりやすい面だけで取り出されて問題提起される歴史を重ねています。年金制度は超長期の考え方に立って国民の年齢構造や経済成長などマクロな視点を考慮して設計されています。

 一方で年金受給者は今受け取れる金額、あるいは将来どのくらいの金額を受け取れるのかどうかと日々の生活感覚で考えます。マクロと生活感覚の違いが問題点の議論のずれを起こし、さらに理解を難しくする宿命を抱えています。例えば年金改革が話題になるたびに「今の若い層は年金を受け取れない」「現役世代が支払う保険料が年金制度を支える現在の賦課方式が良いのか、自分で年金原資を貯める積立方式が良いのか」などが話題になり、政治家、学者から様々な意見が飛び交い続けています。

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