
帝国主義が跋扈、ロシア、中国に続き、米国も歴史の教訓を嘲笑う
2026年1月3日、米国がベネズエラの首都カラカスなどを空爆し、米軍特殊部隊がマドゥロ大統領を拘束しました。トランプ大統領はかねて米国で深刻化する麻薬蔓延の根源としてベネズエラを非難し、武力行使を示唆していました。軍事作戦後に「安全で適切な政権移行が実現するまで、われわれが国を運営する」とベネズエラを支配下に置くと宣言するとともに、同国の膨大な石油権益も米国が収めると明言。麻薬撲滅を理由に石油資源を奪取するのが狙いだったとしか思えません。
南米の石油資源を手中に
米国をロシアと置き換えてみてください。2022年2月にウクライナの首都キーウに侵攻した軍事作戦とほぼ同じ構図に映りませんか。大統領の拘束などに失敗しましたが、ロシアがかつてソ連邦だったウクライナを自国領土に取り戻すとともに、「次は欧州全域を視野に入れる」という脅しているのです。
トランプ大統領もベネズエラの隣国コロンビアに対する軍事作戦に言及しています。「コロンビアも非常に病んでいる。コカインを製造して米国に売るのが好きな病的な男が統治しているが、彼はそう長くは続かないだろう」。ベネズエラやコロンビアにある石油権益を手に入れ「価格が下がることは、我が国に良いことだ」と続け、軍事作戦を「良い考えだと思う」と答えるリアクションが空恐ろしい。
脱炭素を掲げたバイデン前大統領のカーボニュートラル政策を破り捨て、自らの支持基盤である石油、ガスの資源産業の復権を急ぐトランプ大統領です。石油資源の獲得の思惑は明確です。
コロンビア、メキシコにも言及
まだ続きます。メキシコから薬物が大量に流入していることに触れ、「メキシコは行動を起こさなければならない」と述べ、ベネズエラ、コロンビアの次はメキシコと脅します。南アメリカは米国の裏庭と呼ばれ、米国は政治経済に強い影響力を持っていますが、露骨に国家主権を無視した帝国主義丸出しの米国が目の前にあります。
南米だけではありません。デンマークの自治領グリーンランドの領有について発言しており、北大西洋条約機構(NATO)加盟国を新たな標的に。デンマークのフレデリクセン首相は「もし米国がNATO加盟国への軍事攻撃を選択すれば、NATOを含め第2次大戦後に築かれた安全保障のすべてが停止する」と警戒を呼びかけています。
トンラプ大統領はまるでフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ前大統領をよう。2016〜2022年の在任中、麻薬撲滅対策を理由に何千人もの死者が出ました。ドゥテルテ前大統領は国際刑事裁判所(ICC)が人道に対する犯罪の疑いで逮捕状を出し、現在はオランダ・ハーグへ移送、刑務所に勾留されていますが、トランプ大統領を選んだ米国民はどう考えているのでしょうか。
大国の軍事力優先は世界平和を崩壊
米国は世界の警察官を自負し、中東平和などを理由に軍事力を行使してきました。しかし、米国が自国利益を最優先したことで、第二次世界大戦後に築き上げた世界の地政学上のパワーバランスを大きく崩れ去ります。
ロシア、米国の暴挙を中国に置き換えたら、どうでしょうか。万が一でもあってはいけませんが、台湾有事の可能性を改めて彷彿させ、日本が巻き込まれる恐怖も覚えます。人類の歴史は数えきれない戦争を繰り返してきました。そこから得られる教訓は、2度戦争を起こさず平和を死守すること。にもかかわらず、ロシア、中国、米国は嘲笑っているのです。
日本は傍観者でいられないのです。高市首相は年頭の記者会見で米国のベネズエラ軍事攻撃について論評を避けました。「わが国は従来から自由、民主主義、法の支配という基本的価値や原則を尊重してきた」と説明し、「私とトランプ大統領の間を含めて、さまざまなレベルで緊密に意思疎通を行っている」と繰り返すだけ。意思疎通の内容を知りたい。

