経済学の名著

「新しい資本主義」の無視は、子供の未来も無視するの? 

資本主義が問われている要因のひとつとして地球温暖化があります。温暖化を招くCO2は産業革命が勃発してから増え続けています。以来、世界経済は過去の人類史で経験したことがない成長を続け、その成長を生み出す企業家精神を支えてきたのが資本主義です。

資本主義は200年以上に渡って経済学として優秀な経済学者によって議論され、科学とまでいえないまでも社会科学としてその理論の普遍性は評価されています。その資本主義が根本から問われているのに、健全性を取り戻す程度で日本経済は修正できるのでしょうか。大袈裟に言えば物理学のニュートン力学が正しいのかどうかを考える時に、りんごの木を変えればなんとなくうまくいくのではないかと聞かされた思いです。

地球規模の変革の時にいる自覚を

日本経済を40年間にわたって取材してきた感覚でみると、目の前に突きつけられている「新しい資本主義」は風邪や骨折の治療で済む程度ではありません。日本経済の長期低迷を一国の政策ミスなどと捉えていたのでは、「木を見て森を見ず」の典型です。

産業革命以降、疑う余地もなかった自動車や飛行機の力の源である内燃機関のエンジンが否定され、わずかな超富裕層に世界の富が集中しています。人種や性などによる差別に対する認識と貧富の格差、2050年にも地球の人口が100億人に達する可能性などなど。人類が直面する課題は技術革新や経済政策の弥縫策で解決できるレベルではありません。

それでも、私たちは子供、孫の世代にどう地球をバトンタッチしていかなければいけません。改めて指摘することもありませんが、日本経済は世界経済の中に組み込まれており、日本経済の再生どころか世界経済の変貌に合わせてどう立ち向かうかを覚悟する時間にいるのです。

メディアなどの経済ニュースや論調をみていると、「日本の経済は米国、中国に次ぐ世界第3位の経済規模。まだまだ体力はあるから、慌てることはない」との慢心が感じられる時があります。日本経済はこれまでの経済成長で蓄積された金属疲労で折れる寸前というのが現状でしょう。

多くの経済学者の議論を聞きたいのです

「新しい資本主義」は次代の日本、地球がどう存続するかを考えるきっかけであってほしい。コロナ禍と同様、次代への向き合いを誤れば人類の存亡にかかわるものです。経済学者のみなさん、ぜひ議論してください。今こそ経済学者が注目され、意見を求められている時はありません。自分たちの未来は自分たちで考え、創造していきたいですから。

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