日経平均38万円に手が届く日「やればできる!」この覚悟で変革すればきっと

  「日経平均が38万円を突破する日は訪れるのかなぁ〜」。33年ぶりの高水準を維持する株式市場をみていたら、突拍子もない妄想が浮かびました。バカバカしい。記憶から消し去ろう。でも、やはり真剣に考える価値があるかも。とんでもない数字ですが、日本経済の過去と現在を遠い未来から一望するにふさわしい数字のように映ったからです。

初夢?過去最高値が10倍に

 1月11日の東京株式市場で日経平均株価が3万5000円台を突破しました。1月9日から3日間連続で1600円上昇しました。米国の早期利下げ観測から、前日のニューヨーク株式市場で主要株式指数がそろって上昇。東京市場も円相場が1ドル=145円程度という追い風も吹き、円安で業績が押し上げられる自動車や商社などの株価が上昇しました。

 勢いは冷めず週末前の12日金曜日は一時、700円以上も値上がりし、バブル期の1990年2月以来、33年11ヶ月ぶりの水準に。終値は11日より572円25銭高い3万5577円11銭。縁起の良い5と7と1が並び、まるで見た目をそろえて終値を固め、翌週への浮揚力に期待したかのようです。

 市場では年内に4万円台に手が届くとの声が出始めています。短期間で高騰しているため、過熱感を警戒し、利益確定売りなどの調整があると思いますが、上昇機運はまだ続きそうです。

 日経平均の最高値は1989年12月末の3万8957円44銭。当時、今でもよく覚えているのはテレビの経済番組でのあるアナリストの予想です。「日経平均の5万円も見えてきました」と自信満々に話します。その後、バブル経済が弾け、株式市場は悪夢から逃れることができませんでした 

 日本がバブル崩壊の悪夢から覚めるまでの33年間、欧米の株式市場は上昇し続けています。米国のダウ平均はこの30年間で10倍以上も増加。欧州もドイツは7倍以上の上昇率です。日経平均がこれからも勢いを加速し、仮に過去30年間の遅れを取り戻すとしたら、1989年12月に記録した3万8000円台の10倍超も膨張しなければいけません。単純計算すれば38万円。

 冷静に考えたら、38万円は初夢でもありえないし、正夢にならないこともわかっています。しかし、30年間、世界から置いてきぼりとなっていた日本の株式市場です。世界を見回し、取り残された事実をしっかり向き合えなければ、株式市場の上げ潮ムードどころか、再び経済は足踏みし、苦しむかもしれません。

過去最高値を超えても

 2024年の株価を押し上げる勢いは、バブル経済といった危ういものではなさそうです。それでは「記録更新間違いなし」なのでしょうか。

 まずデフレ経済の出口が見えてきました。1990年代のバブル崩壊で30年以上も続く日本経済の停滞感が終わりを告げるとの見方が増えています。消費者物価の3%上昇が定着しそうです。ロシアのウクライナ侵攻など世界情勢の緊迫から電力、石油、ガスのエネルギーコストが大幅に上昇しているほか、農産物の需給が締まり、食料品など消費財も高騰してます。

 日本銀行が異次元と称する大幅な金融緩和政策は、目標とする消費者物価2%が定着したと判断すれば転換する方向です。春闘などで賃金引き上げが物価上昇率を上回り、実質賃金も上昇に転じればデフレ経済の出口の扉は開くでしょう。

 春以降、日本経済がどのぐらい強靱か、それとも脆弱かを試される時期に入るはずです。マイナス金利がプラスへ転じれば、円安に振れているドル円相場は日米金利差の縮小を理由に円高へ戻るかもしれません。日本企業の経営は円安、円高で大きく左右されない構造に転換しているものの、石油・ガス、農産物など輸入材のコスト上昇は落ち着くでしょうか。

経済はちょっと下向き

 世界銀行は1月9日に世界経済の成長率見通しを公表、2024年は2・4%と予測し、前年の23年より0・2ポイント下がるとしています。日本は0・9%と23年の1・8%から半減します。日銀が金利引き上げへ動き始めた場合、金利ゼロに慣れてしまった日本経済は金利上昇に耐えられるのか。もちろん預貯金者には恩恵が及びますが、政府債務や企業の資金需要はどう反応するか。世銀は金利水準が需要を押し下げると予想し、貧困国に対する国際支援を求めていますが、日本国内でも金利上昇への耐久力を養う支援が議論されるでしょう歯車が狂えば、日本経済も株式市場もダウンしかねません。

 株価を下支える好材料はあります。新NISAが本格的に普及すれば、個人の資金が株式市場へ流入します。これまで預貯金が当たり前だった日本で、株式投資を経験する層が広がれば、長期的には上昇力を高めます。年間2兆円が新たに株式を買う資金として加わるとの見方もあります。

ティモンディのデカ声が聞こえる

 もし、新聞やテレビなどで日経平均38万円予測を展開したら、大変な炎上騒ぎとなるか、バカみたいと完全無視されるか。そりゃそうです。1990年代から30年間以上も日本経済はGDPは実質横ばい。年収も横ばい。非正規雇用が雇用者数の4割を占め、年金や福祉など将来への不安が拭えない。日本の企業の実力も30年前に比べて衰えています。

 2024年から日本のマクロ経済の状況が大きく変わったとしても、米国を目標に追いかけ、いつか10倍に増えると自信を持って語れるアナリストはいないでしょう。日経平均38万円を実現するためにも、30年後の日本経済を夢見て、未来から逆算して変革を実践するしかないのです。夢はいつか実現できる。「やればできる!!」。へこたれそうになったら、ティモンディの応援を思い出して自らを励ましましょう。

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