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ニセコ 宿泊施設の定員が倶知安町の人口を上回る 海外客に押し出される日本のスキー客

 北海道ニセコの膨張が止まりません。世界でもトップレベルのパウダースノーで人気を集め、海外から押し寄せるスキー客らが増え続けています。有名なホテル・リゾート施設による建設投資ラッシュも過熱気味ですが、宿泊施設の定員総数がついにニセコの地元、倶知安町の人口を上回ります。凄い!!!

 1年間を通して観光客を集める国際リゾートとしての評価は高まる一方ですが、宿泊費やリフト券などは高騰。円安効果で潤う海外の観光客にとって魅力が満載でも、国内のスキー客には足が遠のきそうです。

宿泊定員は16000人超

 ニセコと呼ばれるスキーリゾートは周辺に多くのスキー場がありますが、最も人気が高いのは倶知安町にあるグランドヒラフ、アンヌプリ、ニセコビレッジ、HANAZONOの4つのスキー場です。すでに高級ブランドのホテルが集まっている中、この冬に「ニッコースタイルニセコHANAZONO」がオープンすると倶知安町のリゾート地域にある宿泊施設の定員数は1万6000人を超えるそうです。

 ニセコを訪れると実感できます。ニセコを初めて訪れたのは50年前でした。その後もスキーで何度も訪れており、30年ほど前のヒラフ周辺はまだ大きなホテルが少なく、別荘形式の宿泊施設が増え始めたぐらいで、まだ森林が目立っていました。オーストラリア人がニセコに押し寄せ始めた頃もようやく英語の看板が目立ち、割安な宿泊施設が増え始めた印象でした。ところが、5年ほど前から海外の巨大資本が入り始め、宿泊施設などが立ち並ぶように増えています。北海道新聞によると、宿泊定員数の統計を始めた8年前と比べて8割も増加したそうです。

 しかも、人気は過熱する一方です。ニセコの予約状況をみると、今冬から来年春までのスキーシーズンはすでにほぼ満室に近い状況です。12月以降、倶知安町の人口数は宿泊客だけで2倍の3万2000人以上に膨らむのです。ホテルの宿泊客は当然、スキー場でリフト券を購入し、山腹や地区周辺のレストランで食事します。地域経済に与える効果は衝撃的です。

リフト券は1日券1万円超

 この人気ぶりからニセコの諸物価は高騰しています。例えばスキー場のリフト券。一日券は大人で9500円、ヒラフやアンヌプリなど全山共通が10500円と1万円を突破します。65歳以上のシニアでも8900円。一日券を購入してレストランで食事したと想定します。友人や家族でニセコを楽しんだら、あっという間に5万円を超えます。宿泊費も高騰していますから、日本人にとっては海外旅行と同じ出費を覚悟するしかないかもしれません。

 海外の観光客には円安効果があります。現在は1ドル150円程度で推移していますが、1年前の2023年12月は143円程度、2年前の2022年12月なら135円台程度でした。感覚的には1割以上も安い印象を持つのではないでしょうか。

 空前絶後のニセコブームは地域に大きな経済効果をもたらしています。人口動態をみてみます。倶知安町の人口は2024年11月現在で1万6071人を数えます。1965年の19738人をピークに減り続けていましたが、2000年代に入って減少は止まり、1万6000人前後で推移しています。急速な人口減に悩んでいる北海道の他の市町村と対照的です。

地域経済への効果はとてもつなく大きい

 しかも、若者や外国人の流入が続いています。65歳以上の高齢者比率をみると、25%程度で横ばい。通常は毎年、増え続ける数字ですから、若者が増えているのがわかります。 外国籍の住民も増えています。2024年10月現在で1192人。面白いのは冬季に急増するのです。2024年1月は2897人でした。スキーシーズンに入ると、外国籍の住民が2・4倍も増え、スキーシーズンを終えると減少へ。25年1月の増加率はもっと拡大するはずですし、海外客向けのビジネスの広がりに合わせて外国籍の住民は増える見通しです。

 北海道の地域経済にとっては絶大な恩恵ですから大歓迎したのですが、日本人スキーヤーとしては寂しい思いはあります。あれだけの素晴らしい雪質と雄大なゲレンデがどんどん遠い存在になっていく寂しさです。リフト券や宿泊費の高騰はシーズンに何度もスキーを楽しむ人間にとって大きな負担。1泊2日でニセコを訪れたとしたら、1人当たり5、6万円はかかるでしょう。家族3人か4人なら20万円近い可能性も。とても無理。ニセコではすでに日本人は少数派です。どんどん遠くへ押し出される思いです。

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