サハリン撤退が是か 日本のエネルギー安全保障は豪米を軸に再構築できるか
米豪依存が高まれば、自国の戦略を判断する余地は狭まる
日本がサハリンをご破算にした後、米国やオーストラリアなど同盟国によりエネルギー依存することになります。米豪を軸にしたエネルギーの安全保障に再構築することはもちろん、「あり」です。しかし、これまで以上に米豪の思惑に左右され、自身の戦略を判断し決定する余地がさらに狭まるのは確実です。ちなみにサハリンの石油・LNGは日本が見限っても、中国などが代わりに購入するのは確実です。
だから原子力発電へ再び、という結論はありません。東京電力はじめ電力会社に対する原発再稼働への信頼は回復してません。原発が排出する核廃棄物の処理のめどもついていません。青森の六ヶ所村を一度、訪れてみてください。
あれだけの施設、あれだけの資金、あれだけの時間と労力を注ぎながら、核燃サイクルが完結するめどがたっていないのです。それよりもロシアがウクライナの原発攻撃を見てもわかるよに攻撃対象になった時の原発の危険性は十分に考慮しなければいけません。日本国民は狭い国土に多数の原発を抱える恐怖を福島第一原発事故で十分にわかっています。
まずはエネルギーについても脆弱な国であることを思い知り、日本は安全保障についてもう一度戦略を練り直すことを突きつけられていることを自覚するしかないのです。いまさらです。でも、そこから再びスタートです。