エルトン・ジョンのHot Heart 電池切れしないなぁ〜
中学3年生の頃はご多分にもれず深夜ラジオにハマりました。好きだったのは糸居五郎さんです。アメリカンスタイルのディスクジョッキーを貫き、ブルースは必ず「ブルーズ」と英語の複数形の「ズ」を発音していました。語りよりも音楽をメインに番組を構成して自身の哲学に従って選曲していくスピード感がとても好きでした。
糸居五郎さんのDJが大好きでした。そうそうウルマン・ジャックも
リクエストはがきで覚えているのが、レインボウズの「バラ、バラ」でバラバラというフレーズが何回繰り返されるのかを数えるものです。確か糸居さんは曲を流しながらも「回数なんてどうでも良いんじゃない」と返したような気がしましたが、「バラバラバラバラ・・・・」と続くフレーズが今でも耳について離れません。
そんな音楽の聞き方をしていたにもかかわらず、エルトン・ジョンの「Your Song」を聞いて、もう忘れられなくなりました。内容はラブソングだけれども、歌詞を書いているバーニー・トーピンに対する愛情のことなのかなと感じた時はなかなか複雑な心境でした。アルバムの表紙を見てもわかりますが、当時のエルトン・ジョンは内面的で生真面目な人柄だと思っていました。
中学、高校と思春期を迎えていた自分にとって、ポカッと空いた穴にエルトン・ジョンがちょうど嵌ったのでしょう。高校の時、仲良かった同級生が転校する時にアルバムを買ってプレゼントした思い出があります。ちなみに女の子ですよ。
その後、曲も歌詞もていねいな作り、アルバム全体でストーリーを感じる劇場的な曲の流れが好きでしたので新しいアルバムが出ると必ず購入していました。「Madman across the river」などは家でステレオの音量を最大限に上げて聞いて、エルトン・ジョンの気分に浸ったもんです。田舎の一戸建てだったとはいえ、今思えばあんな大音量を許してくれた親に感謝しかないです。
ところが映画「トミー」に関わった頃から、エルトン・ジョンが変わってしまうと感じました。最近の氷川きよしみたいな変貌ぶりですか。内面と外面の乖離に悩まずに本音で生きるんだという意識が一気に噴出したのでしょうね。ファッションがはちゃめちゃなカラーリングになってしまい、ちょっと付いていけないなあと思い始めていたら、今度はバーニー・トーピンと決別したとのニュースを知ります。
それからはエルトン・ジョンはどこへ行っちゃんだろうと遠くから眺めてしまうようになりました。最近の映画ロケットマンも見よう見ようと思いながらも、結局は見送りました。私にとってはやはり「Your Song」が素顔のエルトン・ジョンと思っているからなのかもしれません。
今回の「Cold Heart」は古い名曲をうまく編集したせいもあるのでしょうが、曲から50年前に感じたエルトン・ジョンの自然な息遣いを感じたのかもれません。どこにも力みが感じられません。もちろん、これまで音楽にとどまらずに社会、文化など幅広い影響力を意識して挑戦する行動力には敬服するしかありません。ただ、なんか違うなあと感じていました。
ですから、「Cold Heart」は新鮮に感じました。この50年間変わることがなかったエルトン・ジョンの「Hot Heart」を再認識して、勇気づけられました。