北海道・ふるさとを創る4 音威子府、壊れそうで壊れない 未来の日本の集落を映す
音威子府、読めますか?「おといねっぷ」。北海道北部に位置し、道内で最も人口が少ない村です。村名はアイヌ語の響きを漢字に当てはめたもので、音威子府村のホームページによると「濁りたる泥川、漂木が堆積する川口、あるいは切れ曲がる川尻」の意味だそうです。天塩川と音威子府川の合流地域に位置しているからでしょう。
JR音威子府駅もかつては宗谷本線と天北線が分岐する駅でした。地名の由来と重なります。村の「広報おといねっぷ」によると、2021年12月末現在は682人。木材と鉄道の拠点として人口4000人を超える時代がありましたが、林業や国鉄の衰退、そして天北線の廃線などに背中を押され、急き立てられるように過疎化の渦に巻き込まれています。
今年(2022年)1月、浜頓別から路線バスに乗ってJR音威子府駅前に到着。45年ぶりです。初めて訪れた当時は国鉄宗谷本線を北上して音威子府駅で一度乗り換えて、天北線の浜頓別駅に向かいました。天北線は1989年に廃線に。ですから今回はバスを使って、浜頓別から音威子府へ逆流しました。
実は宗谷本線を北上して訪れるつもりでしたが、今冬の大雪でJR宗谷本線は列車の運休が続き、断念。直前に滞在していた名寄からは路線バスで向かうしか交通手段がありませんでした。
そこで発想を転換。どうせ路線バスを利用するならオホーツク沿岸を回る良い機会と思い直し、まずは名寄から紋別へ。一泊して翌朝から路線バスでオホーツク沿いに北上。7時間以上かけて興部、雄武、枝幸そして浜頓別を経由して音威子府にたどり着きました。