北海道・ふるさとを創る4 音威子府、壊れそうで壊れない 未来の日本の集落を映す 

 北海道の地図をみていただければわかりますが、ずいぶん遠回りしたと思われるかもしれません。でも、乗り継ぎの時間を利用して、町それぞれが自身の強み・個性を活かして「地方創生」にチャレンジする姿勢がわかり、とても勉強になりました。

砂澤ビッキさんの制作アトリエを見たかった

 さて音威子府です。目的は彫刻家、砂澤ビッキさんの制作アトリエを見ることです。冬期は閉館しています。事前に知っていました。それでも訪れたのは、彼が制作の場として構えた音威子府の空気をじっくり感じたいと思ったのです。

 「自然のまま樹木を素材とする。生きているものが衰退し、崩落するしていくのは至極当然」「自然は風雪と言う名の鑿(のみ)を加えていくはずである」。砂澤ビッキさんが木材彫刻を制作するうえ、自然に任せて朽ちていく様を大事にする考えが大好きです。

 現在、アトリエは「エコセンターおさしまセンター」と併設されています。音威子府駅からセンターがある筬島(おさしま)までの距離7キロ。夏期は巡回バスがありますが、冬期は運休。今回、晴天なら歩いていこうと考えていたのですが、当日は大雪と吹雪でとても無理。タクシーはありません。全国有数の豪雪地帯ですから、ヒッチハイクなんてとてもとても。遭難します。

音威子府そば

 それならと吹雪いているなか、駅周辺を歩き回って空気をたくさん吸うことにしました。今夜の宿は予約済みです。まずは駅から歩いて数分の距離にある道の駅。駅前から新聞販売店を横目で見ながら、真っ正面に歩いて国道275号線に出ると、全日食チェーンのスーパーがありました。

 ふと店内に入り、品揃えや雰囲気を確かめてみようと思いました。音威子府といえば名物は真っ黒いそば。北海道でも他の地域では簡単に手に入らないので、そばを売っているかどうかを確認します。かなり子細に棚を見て歩いても、他の食材に巻き込まれ、しかもケースの一番角に置かれて全く目立ちません。

 東京・四谷にお店が出てるくらいの話題のそばです。不思議だなと思ったのですが、地元の人にとっては有って当たり前の食材。観光客は道の駅へ足を伸ばすだろうから、地元客が利用するお店で名産扱いする必要はないということなのでしょう。

閉店した常盤軒

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