65歳から始めたメディアサイト✌️「デジタル・ジャーナリズムは稼げるか」今は稼げない
読書感想文を続けます。
ネットビジネスは根底から覆される
「デジタル・ジャーナリズムは稼げるか」(ジェフ・ジャービス著、東洋経済新報社)を読み終えてからタイトルに対する答を察すると、「今のままでは稼げない」となるのでしょうか。著者のジャービスさんは、ネット時代のビジネスモデルが、新聞・テレビなどのレガシーメディアと比べて根底から覆されている事例を連ねています。
アドセンスではカフェラテぐらい飲めない
私のような個人的なブロガーサイトについても触れており、グーグルの代表的な広告プラットフォームであるアドセンスについて「グールグルにとっては素晴らしい仕組みだろうが、それを利用している小規模サイトは、私が知る限り、せいぜい時々カフェラテを飲む程度の収入を得ているのに過ぎない」と冷静に見詰めています。
実際にグーグルアドセンスを利用している体験を振り返るまでもなく、アドセンスの審査に合格してから1年間でカフェラテを何杯飲めたか。ネット上では月額100万円も夢ではないという途方もないバラ色のブロガーの成功例も散見しますが、新聞など大手のメディアを見ていてもアドセンスを使いこなせず四苦八苦している現状がそぞれのサイトから伺えます。
著者のジャービスさんはジャーナリストは営業できないとも明言しています。根底には、自分たちが作り出したコンテンツは読まれるものだという確信が根ざしているからだと考えています。そんな自己顕示欲の塊と思われるのは残念ですが、次のようなくだりを見つけました。
ジャーナリストは商売が苦手
一般にジャーナリストは、商売が苦手で嫌悪していることも多いので、それを乗り越えなくてはいけない。ジャーナリストの多くは、計算が苦手である。だから売上の計算もうまくできない。また、広告というものを根本的に嫌っている。だからジャーナリストが一人でブログを運営してあともな利益を上げるのは不可能に近い。
まるで面と向かって言われている思いです。確かに。ある新聞社が記者数を減らすため、配置先として居酒屋を設けました。店名は「放心亭」。口の悪い新聞記者です。「配置された記者は、お酒やアテを放心状態で運んでいる」と揶揄していました。私自身、親しい友人からブログを始めた話すと、「営業はとても無理でしょう」と異口同音に言われたのは驚きでした。
著作権の代わりにクレジット権を
著者のジャービスさんはデジタル・ジャーナリズの次代モデルをどう考えているのか。「クレジット権」という概念を提案しています。コンテンツに与えられる著作権に代わりコンテンツの価値を新たに高めた発想を重視し、その発想を考案した人は見返りとしてコンテンツから利益を上げるクレジット権を付与される考えです。
具体的な仕組みはこうです。あるコンテンツは伝言ゲームのように様々な形に変えて、多くの人に拡散されていきます。著者は作曲家を例に挙げ、ストリートで見かける詩人の作品に刺激され、新曲を仕上げる。その曲を聞いた違う作曲家が新たな編曲を加えてヒット、それが新たな作曲、音源、YouTubeなど動画として生まれ変わり、新たな価値を生み続ける。どういう報酬計算するのかは不明だが、それぞれ新たな価値が生まれる段階で報酬を受けるクレジット権を手にする仕組みです。
著作権をめぐる著作権の現況を考えると、そう簡単に実現する気配は感じません。しかし、ネット上であふれる情報は、オリジナルのコンテンツ・動画の著作権を支える認識が砂上の楼閣の存在になってしまったころを教えています。
著作権を覆すのはたいへん
デジタル・ジャーナリズムが稼げる仕組みができあがるためには、著作権などこれまでのコンテンツビジネスの地盤となっていたものを覆すしかないのでしょう。著者のジャービスさんはマスメディアの「マス」はもう存在しない。個人が運営するブログも含めて多くのサイト運営、特にジャーナリストが考え方を一新しない限り、デジタル時代のジャーナリズムはいつまでもフラフラの状態が続くと断言します。こんなたいへんなことが個人の力ではとてもできそうもありません。
やはり、当分は稼げないとあきらめるしかないのでしょうのか。
=次回に続く。