根室と函館③やきとり弁当の次は、おいしい魚と貝に釣られる 

 「やきとり弁当」の串刺しにされた豚肉と長ネギでエネルギーを充填。そのままホテルの大浴場へ向かい、長時間の列車の旅でたまった疲れを一掃。夜の居酒屋への準備は整いました。

スーパーで美味しそうな魚と貝

 午後6時過ぎ、再び歩き始めます。外気はマイナス10度ぐらいですが、寒さは気になりません。ちょっと心配なのは雪が凍った坂道です。雪道や凍結には慣れていますが、凍結した斜面はスキーをつけて滑るゲレンデぐらい。ちょっと慎重に歩きます。

 準備運動を兼ねて近くのスーパーへ。魚売り場で並ぶ新鮮な魚や貝をみると、猛烈に食べたくなりました。地元の人にとっていつもの風景かもしれませんが、根室の魚は別格。例えばタコ。肉厚で柔らかく、噛むとじわった甘みが出てきそう。真つぶ。函館で過ごした小さい頃はおやつ代わりでしたが、今は高級食材です。

歯舞産のこまいに驚き

 トレーにパックされている魚を見ているだけで唾が出ます。歯舞産のこまいにはちょっと感動。こまい(氷下魚)はカリカリの乾物でしか知りませんでしたから。鮮魚の状態で初めて見ました。どうやって食べるのだろう。

氷下魚

 かれいにも魅了されます。こちらも今や高級魚の仲間入り。スーパーに並ぶのはパック詰めされたかれい。小さいけれど10匹近くあって100円。安い!、どうみても安い。焼いたり煮たりすれば、もう満足です。熱燗を片手に骨ごとガブリと噛み切って食べたら、甘い魚肉に「うめぇ」と声が出るはず。

 つぶも食べたい。こまいやかれいと同様、ホテルで調理できないので眺めるだけで我慢しようと思っていたら、小さなつぶが2割引きで売っていました。「灯台つぶ」。真つぶと比較にならないという声もあるかもしれませんが、つぶはツブ。

 魚売り場のスタッフに「湯通ししているので、そのまま食べられますよね」と確認したら、「大丈夫」との返答。1パックを買って、飲食コーナーでガツガツ食べました。磯の香りが残ったそのままで、ツブらしいコリコリ感を堪能。この感覚です。これで238円。スーパーでお酒を買って、もう少し魚や貝を食べたら今夜は終わり。そんな誘惑に負けそうでしたが、それでは居酒屋巡りが台無しになります。

今日はこれ!!238円

居酒屋はアウェイ感

 気を取り直して居酒屋へ。お昼の街歩きの時に品定めならぬ店定めを酔っ払いの勘でチェックしていましたが、改めてホテルのスタッフに確認。まず1軒目。カウンターのほかにテーブル席がいくつもあり、予想と違って大きめでした。翌日、北方領土返還を求めるイベントが予定されていたので、参加する人たちなのか、とても賑わっています。

 独りで入ったら、結構アウェイの視線。「今日は団体さんの日なの」という空気に突っ込みます。お店の人は冷めた目線のまま。そのせいか、いくつか注文しても「今日は品切れ」と素っ気無い。メニューに書いているのに。せっかく根室に来たのだから、日頃馴染みのない料理を注文しても、忘れてしまうのか手元に届きません

 改めて注文を確認したら、何回も連続して品切れはまずとさすがに気にしてか、お店の人が外へ買いに行って出ました。そんな珍しいものじゃないです。「飯ずし」。メニューに書いています。

中国の観光客も続々

 熱燗1本だけ飲んで帰ったら、怒って出たと思われるのも嫌なので、2本目を頼んだら、中国人の7人客がお店の扉を開けました。同じホテルに宿泊しているグループでした。小部屋の席は北方領土返還イベントの参加者で満席。一方、カウンター席は6人分空いています。

 1人分足りないのでお店の人が躊躇していたため、逆に良いタイミングだと思い「出ますよ」と声をかけたら、初めてお店の人が笑顔を見せてくれました。

 2軒目は小洒落た居酒屋に顔を出してみました。お客は誰もいません。きれいなお店なのにと思ったのですが・・・。料理が自慢のようなので、メニューから何を注文したのですが、何を食べたのか飲んだのか記憶がありません。不思議なお店でした。

 根室は日本でも有数の漁港です。北洋漁業の基地だった函館でで育っていますから、漁師さんらの金払いの良さは知っています。口は悪いですが、根は良い人ばかり。居酒屋さんは漁業関係者に慣れているせいか、外のお客さんのあしらいが上手じゃないみたい。まあ、北海道に共通しています。どうしても身内のお客が多いので、一見の客には気を遣いすぎるようです。

花まる創業の地、地元の潜在力に期待

 でも、根室では回転すしで有名な「花まる」の創業地です。花まるはどの店もお客が並ぶ人気店として有名です。東京でも並んで待つのが当たり前の回転寿司店です。函館はじめ北海道のお店は、目の前の素晴らしい財産が当たり前と思い、道外や海外のお客さんに教える術がないようです。花まるをお手本に学んでもよいのじゃないのかな。もったない。

花まる本店

 

 居酒屋を何軒も回りながら、あまり酔わずに夜を歩くとは思いもしませんでした。ちょっと残念だなあと思って、夜空を見上げたら、きれいな満月。やっぱり今夜は幸運な夜でした。

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