根室と函館①坂道の向こうに海、焼き鳥弁当 港町はどこも同じに見えるが・・・

 根室市を歩いていると、自分が育った函館市にワープしたかのような気分になりました。

根室駅を出ると坂道が、その向こうに港

 根室駅を出て港に向かいます。10分も歩けば、海が見えてきました。真冬の2月。防波堤に守られる港内は真っ白。氷に覆われ、遥か彼方まで氷面が続きます。氷結した港までは坂道が続きます。下りはそれなりの斜度があり、スキー場なら初心者コース。

 函館の風景を思い出します。八幡坂や基坂。テレビのCMや番組、観光ポスターなどでたびたび紹介されているので、ご存知の方が多いでしょう。通った幼稚園がすぐ近くのお寺にあったこともあり、周辺の元町界隈は遊び場でした。

 坂の上から見下ろす函館港の風景が大好きです。青函連絡船の発着場、漁船、倉庫、遠くには駒ヶ岳のとんがった頂上が見えます。手前にはロシア正教やカトリックの教会、お寺の大きな瓦屋根。夕方になると、お寺からゴーン、ゴーン、教会からカランコロン、カランコロンと鐘の音が聞こえ、互いに共鳴します。

碓氷勝三郎商店

「北の勝」に敬礼

 根室の坂道を降り始めます。市役所を通り過ぎ、まずは酒蔵、碓氷勝三郎商店へ。日本酒「北の勝」を酒造しています。北海道にはおいしい日本酒が多いですが、「北の勝」はトップクラスに好きなブランドです。

 創業は明治20年。酒米が取れない北海道ですから、本州から酒米を取り寄せ、杜氏も招いて日本酒をつくったそうです。凄い!北洋漁業で沸いた当時の根室の繁栄ぶりがわかります。父親が大洋漁業に勤めており、豪快な漁師気質がわかっているせいか、お金を惜しまず「北海道でおいしい日本酒を作ってみせるぞ」という気概に惚れました。一度は、酒蔵を拝みたい。予想通り、レンガ作りのりっぱな酒蔵です。見学はできないので、外から拝みます。敬礼。

港の海面は氷結

 坂道を降り終える向こうには港が広がります。流氷はまだ接岸していませんでしたが、海面は凍っていますから真っ白。凹凸があちこちに。「あの凹凸に触りたい」と思い、岸壁のそばに向かいます。周囲には誰もいませんから、海面の氷に触ろうとして誤って滑り落ちたら、命を落とすのは確実。注意深く腰を下ろし、海面に触れるとカッチカッチ。押してもびくともしません。

根室港の海面

 岸壁の近くに渋い居酒屋があったので、夜はここで飲みながら根室を体感しようと決めました。残念なことに宿泊したホテルのスタッフに聞いたら、コロナ禍もあって閉店したまま。根室の夜を歩き回ると、コロナ禍の影響があちこちに残っていましたが、それは次回以降に。

網走から7時間かけて到着、焼き鳥で活力回復へ

 この日は網走から釧路を経て7時間程度かかって根室駅に到着しました。乗車時間は5時間以上。乗り換えの釧路市で1時間ほど空いたので久しぶりに街を歩き回って再び乗車して根室駅まで向かいました。乗車した気動車は網走ー釧路間と同様にエゾシカとの接触が続きます。運転手さんが「ピー、ピー」「ピッピッ」と鳴らす警報の使い分けでエゾシカとの距離感、運転手さんの緊張がわかるようになります。乗っているだけですが、ちょっと疲労感が残ります。

 それだけに日本最東端の駅「東根室」を過ぎて根室駅に到着した時は、かなりの達成感を覚えました。過去2度ほど訪れている街ですが、今回は格別でした。氷結した根室港を眺めた後、寒さも手伝って宿泊予約したホテルに一度は戻ることにします。納沙布岬など周辺の有名な景色、施設は訪れていますから、今回は街歩きに徹するつもりです。函館と同じ漁港の街である根室をどう感じるのか。楽しみです。

 やっぱり疲れました。と思った瞬間、焼き鳥弁当が浮かびました。NHKのドキュメント72時間「根室”ほっこり弁当”冬物語」に登場したコンビニへ行って、「焼き鳥」を食べよう。あの回は視聴者から高い人気を集めていましたが、私も何回もみました。根室、北海道の息遣いを感じ、忘れられませんでした。そういえば函館も「やきとり弁当」で有名なスーパー「ハセガワストア」があるけど、この辺はどうなっているのだろう?

 まあ、焼き鳥といってもお肉は豚。北海道の焼き鳥は豚肉を串で焼いたものも呼びます。室蘭焼き鳥も豚肉を使っています。あの独特のタレが良い。とにかく函館に負けず劣らず高い人気を集める根室の焼き鳥弁当を食って、まだ街を歩くぞ。

 =次回に続く。

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