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アミューズ サザン・福山に続く新たな頂きは、富士山アドベンチャーツアー

 アミューズが東京・代官山にオフィスを構えた頃、取材で訪れたことがあります。1980年の夏です。アミューズは創業1978年ですから3年目のころ。すぐそばに昭和レトロの香りが漂う同潤会のアパートが並び、周囲の樹々は森のようにこんもりしていました。取材の予定時間より早めに向かい、濃い緑が溶け込む代官山の雰囲気に浸りました。同潤会アパートにはブティックやギャラリーが入居しており、まるで写真誌やファンション誌のページを切り取ったよう。アミューズの本社も、その1ページのようでした。

本社は代官山の同潤会アパートのそば

 訪れた目的は新聞コラム「女性の目」を執筆するための取材。アミューズにはサザンオールスターズが所属していましたが、当時ハマっていた近田春夫さんとロックバンドを編成していた「ジューシー・フルーツ」でボーカルとギターを担当していた奥野敦子さんにお願いすることにしたのです。

 取材の予定時間を迎え、部屋に入ってきた奥野さんは開口一番。「今日は経済という堅い新聞の取材なので、いつもと違う雰囲気で話すから」と笑います。ご本人の個性を引き出そうと考え、いろいろな話題を質問しますが、自身の音楽観、仕事への取り組み方などをていねいに、かつ率直に自身の言葉で表現してくれます。

 大学生のころ、東京・目黒の高級中華料理店でアルバイトしていたころ、近所の芸能プロダクションの歌手やタレントさんを数多く目にする機会がありました。今もテレビでベテランとして活躍する方も多く、とても貴重な経験でしたが、当時の奥野さんは纏う空気が全く違い、「アミューズって、なんか面白そうだなあ」と素朴に驚いたものです。おかげで取材も記事執筆も楽しかった。

40年過ぎた今、本社は富士山麓に

 あれから40年以上の歳月が過ぎた今、アミューズの本社は山梨県にありました。2021年7月、本社所在地を代官山の緑に囲まれたオフィスから富士山麓の山梨県富士河口湖町西湖に移転していたのです。「へえ〜」と驚いていたら、6月26日に公表した中期計画にはもっと驚かされました。

 「世界と日本を繋ぐオリジナルコンテンツの創造」の一環としてアドベンチャーツーリズムに取り組むというのです。中期計画によると、世界の市場は年平均28・8%で成長し続けるそうです。2023年から28年までの5年間を成長と確立の時期と位置づけ、地域の魅力、アクティビティコンテンツ、宿泊施設などを総合的にプロデュースするそうです。

中期計画でアドベンチャーを事業化

 対象地域は本社を構える富士山の北麓エリア。すでにコロナ禍で試行錯誤した結果、「今後の継続的な投資に資する結果を出した」としています。キャンプや湖上でのスポーツをアミューズらしいエンターテインメントの味付けを施したそうです。山梨県への本社移転そのものも「時代を彩る新たなモノづくり」と位置付けています。

 アミューズといえば、サザン、福山雅治ら大人気のスター・俳優を抱え、ベイビーメタル、パーフュームら世界で活躍するミュージシャンを育て上げ、事業範囲は地球を駆け巡っています。NHKの朝ドラなどの主演を立て続けに送り出すなどテレビ、ネットのエンターテインメントでの存在感はどんどん大きくなっています。

目標の28年度は大幅な収益増を狙う

 中期計画でも大幅な成長をめざしています。2024年3月から2028年3月までの4年間を想定しており、目標年度の2028年3月期の売上高は650億円、連結営業利益は50億円。2023年3月期は売上高525億円、営業利益31億円ですから、売上高で25%増、営業利益で60%増も見込んでいます。

 今後の収益増はネットを活用した多角的なサービスが主役を演じるのでしょう。「A Wallet」やベイビーメタルなどを活用した次世代プラットフォームを構築して、世界中にエンターテインメント・コンテンツを発信し続け、新たな「アミューズ」が姿を現すはずです。

 富士山麓を中心にしたアドベンチャーツーリズムも日本から世界に発信するコンテンツと位置付けながらも、アミューズ自身が生き続ける新たな事業の根として育てる覚悟のようです。本来の創造的なエンターテインメントとどう結びつけて、世界に発信するのか。その具体化の過程がとても楽しみです。

創業50周年に向けて自らを創造!?

 中期計画の2028年は創業50周年。緑深かった東京・代官山にオフィスを構えたアミューズは、今度は富士山麓の自然に再び身を委ねて創業当時のエネルギーを取り戻し、自らを創造しようとしているようです。

中期計画はこちらを参照ください。https://www.release.tdnet.info/inbs/140120230625510188.pdf

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