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みずほの行員はソーシャルディスタンス

みずほの第三者委員会 誰も驚かない調査結果 「失点を恐れて積極的・自発的な行動をとらない」

 みずほフィナンシャルグループ(FG)が2021年6月15日、過去のシステム障害を調査した第三者委員会の報告書を発表しました。グループ傘下のみずほ銀行は2月末から2週間足らずで4度システム障害を起こしましたが、報告書は共通する人為的な原因として、危機対応への組織力の弱さ、ITシステム統制力の弱さ、顧客目線の弱さの3点を指摘しています。

 その根底には企業風土の問題があるとしました。社内の風土に関しては「失点を恐れて積極的・自発的な行動をとらない傾向がある」と説明しています。

 障害の詳細については新聞・テレビが伝えていますので、ここでは省きます。報告書が強く指摘している企業風土では関係部署の縦と横の連携の悪さも浮き彫りにしました。連絡網は崩壊状態です。

 みずほの頭取はインターネットのニュースでに知ったそうですから。ありえないことです。企業のさまざまな不祥事・事故を取材してきた経験がありますが、企業のトップと広報がどこまで素早く情報を感知し、理解し、説明できるかが対応の原則です。みずほの場合は見事に外しています。失格です。

3行合併の弊害がずっと生き続ける

 しかし、「みずほ」を知っている人なら驚くに値しないと異口同音に話すのではないでしょうか。みずほは第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が合併して誕生しました。いずれも一勧、富士、興銀としての誇りは高く、出身行同士の権力争いが必ず起こると誰もが信じていました。合併後、銀行経営はどうなるのかと当初から言われていました。

予想通り、行内は滅茶苦茶です。最近の表現を使えばハラスメント、言い換えればイジメが日常茶飯事(使い方が違うような気がしますが)となり、取材をしなくても漏れてきました。例えば一勧出身の支店長は興銀出身の行員に「日本、いや世界の産業を議論してきた優秀人材なのだから、その経験を生かして新規の客を取って来い」と自転車に乗って支店管内の個人宅を回る預金獲得を命じたそうです。当然と言っちゃ失礼ですが、10億単位の融資などに携わっていた人材が千円、万円の単位で新規口座を獲得するのは至難の技です。その行員はストレスで自転車を置き、心を痛めたそうです。みずほで多発しているメンタルヘルスの典型例のいじめです。

 メンタルヘルスの第一人者と言われるお医者さんに会った時でした。患者情報の守秘義務があるので詳しくは語りませんでしたが、「みずほって会社は日本一ひどいねえ」の一言でした。みずほの行員とハラスメント対応について雑談話していた時でした。相談窓口について聞きましたら、「もちろん社内に担当部署はありますが、信用されていないから金融庁へ駆け込む場合が多いんです。いくらなんでもハラスメントまで金融庁に持っていく事は無いよね」と嘆いていました。

 ハラスメントが横行する銀行じゃなかったはずです。一勧、富士、興銀のころ、取材を通じて多くの方と親しくなりました。頭取はじめ経営幹部の皆さんは非常に責任感が強く、甘い取材ネタでは相手にされません。銀行らしい厳しさを常に感じました。しかし、信頼関係が出来あがれば12月31日の大晦日の夜でも自宅にあげていただき、正確な状況をお互いのネタで確認したものです。紅白歌合戦を聞きながら「心配するな、あの会社は倒産させないから」と本音も聞けました。携帯電話などが無い時代です。取材を終えた後、公衆電話のボックスを探し出し、真冬の寒さで凍える手で電話機の投入口に硬貨を入れてデスクらと電話連絡した思い出は懐かしいです。

かつての都銀は「駿馬を駄馬にする」といわれた

 みずほには優秀な人材があふれています。みずほの合併そのものが悪手だとは思えません。むしろ3行による合併のエネルギーが新しい金融機関を創造する方向ではなく、なぜ銀行や行員、あるいは派閥の単位で出世争いを繰り広る悪習に向かってしまったのでしょう。

 「駿馬を駄馬にする」。都銀は優秀な大卒らを採用するが、人材を育てる組織ではないと揶揄されていました。社内の激しい出世競争がリスクよりも保身を優先するのが主因でした。失点を恐れ、すぐに打たれてしまう出る杭にはならないーー第三者委員会の報告で指摘された問題点はみずほホールディングスが誕生前からどの銀行にも根付いていた悪習です。

 みずほが誕生した2000年以降も合併前から引き継いだ悪習のオリは沈殿し、重層となって組織を冒し続けました。それはみずほの行員なら、みんなといっても良いほど自分の目と耳で理解していたことです。当然ですが、現在の頭取はじめ経営陣は知っています。第三者委員会からの指摘を受けて驚くみずほの行員は皆無なはずです。

 これからも見ても見えないふりを続けるのでしょうか。銀行そのものが不要になるかもしれない激動期を迎えています。豊かな実りをもたらさないまま、枯れて朽ちる。みずほの名前に託した金融機関の希望はすでに消滅しているのかもしれません。

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