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ホンダが消える34 八千代がインド企業に 軽の車体メーカーが消え、EV生産はレゴ式に 

 ホンダが連結子会社の八千代工業を手放します。八千代工業はホンダが二輪車から四輪車へ事業を拡大するに伴い、部品生産で協力関係を深め、1972年から軽自動車の受託生産も開始。資本関係も強め、軽の車体メーカーとしてホンダを支えてきました。ホンダの事業状況に応じて軽の受託生産や部品生産を調整するショックアブソーバーとしての役割も果たしてきました。その八千代工業がついにホンダグループから離れます。エンジンから電気自動車(EV)への移行による系列部品メーカーの切り捨てと受け止める向きもありますが、むしろ、瀬戸際に立つホンダの悩める姿を映し出しています。次は自ら大胆に生産体系を大きく改革するしかないのだ、と。

 八千代はホンダグループの生産調整役も

 八千代工業の売却先は、インドの大手自動車部品メーカー、サンバルダナ・マザーサン・グループ。インドはEVの普及と並行して今後もガソリン車の生産が拡大する流れにあるため、八千代工業はホンダグループから離れ、主力のタンクやサンルーフなどの部品生産をてこにEV時代での生き残りを判断したのでしょう。ホンダは10月をめどに八千代工業にTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化した後にサンバルダナ・マザーサンに売却するそうです。

 ホンダの部品系列は、トヨタ自動車や日産自動車に比べていわゆる「ケイレツ」の色合いは強くありません。ホンダの四輪車の歴史が浅いうえ、売り上げ規模も小さく、ホンダが取引する部品メーカーはホンダ以外の取引先も積極的に開拓しないと生きていけませんでした。ホンダもトヨタや日産に負けない量産効果を引き出す目的で後押ししていました。

 ただ、八千代工業は別格でした。今でこそ燃料タンクなどの部品メーカーですが、ホンダの四輪事業の大黒柱である軽の車体メーカーとしてホンダの多品種少量生産を担ってきました。上級車でトヨタや日産にかなわないホンダは、どうしても小型車や軽自動車の市場シェアを取り込む必要がありました。しかし、軽市場はスズキやダイハツ工業の2強が他社が真似できない割安な生産コストでシェアを2分しています。ホンダがスズキやダイハツに対抗するためには、自社の製作所に比べて生産コストを抑制できる八千代工業を主体に拡大するしかありません。だからこそ連結子会社としてグループ内に取り込んだのです。

部品より軽の車体メーカー

 八千代工業も1970年代から部品メーカーというよりは車体メーカーへ軸足をどんどん移していました。2008年には三重県四日市製作所にエンジンから車体までを一貫生産する四輪車工場の建設を発表。計画時では年間24万台を生産する予定で、設備投資は500億円。当時は売上高が3200億円超、営業利益が87億円程度ですから、かなり思い切った経営判断です。残念ながら、その後のリーマショックの影響で新工場の建設計画は中止に追い込まれてしまいました。

 系列部品メーカーの宿命でしょう。その後もホンダの経営の変調によって八千代工業の経営は揺れ続けます。2017年10月には八千代工業は軽の生産事業をホンダへ譲渡すると発表しています。ホンダが生産台数の低迷に苦しんだ結果、軽生産を内製化する経営判断を下したのです。八千代工業の生産設備、ノウハウを取り込み、まずは親会社のホンダの苦境打開を選択しました。八千代工業は主力製品である樹脂製燃料タンク、サンルーフに経営資源を集中すると説明しましたが、文字通り苦渋の決断だったでしょう。

ホンダに系列を支える体力はない

 過去40年間、ホンダと系列部品の取引を眺めてきただけに、八千代工業をインド企業へ売却するニュースは正直、驚きではありません。「八千代工業とホンダは特別だったので、ショック」との声もあるそうですが、繰り返しになりますがホンダはトヨタや日産ほど系列部品メーカーを抱え込む体力はなく、支え続ける意欲もなかったはずです。日産がカルロス・ゴーン改革で早めに「ケイレツ」を切り捨てたことで、ホンダの「ケイレツ改革」が出遅れたイメージに映るだけです。

 問われるのは今後の生産改革です。ホンダはEVへの全面転換に向けて系列部品グループの再編を繰り返しています。EVへシフトすれば、エンジン関連の部品のみならず生産工程そのものも大きく変更します。最近、話題のギガキャストはその一例に過ぎません。車体の主要部品を一体成型して、部品点数と組み立て工数を大幅に削減。エンジン車に比べて高価格なEVの生産コストを少しでも削減するアイデアと勇気が求められています。

玩具レゴの組み立てのような生産現場に

 極端な表現をすれば、玩具のレゴを組み立てるかのように主要部品数点を合体させるイメージに到達できるかどうか。職人気質で精緻な作業で軽自動車を組み立ててきた八千代工業の工場現場とは正反対です。八千代工業の売却は、ホンダの生産現場と決別することも意味しているのです。次は自らを大手術する決断が待っています。

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