北海道・ふるさとを創る4 音威子府、壊れそうで壊れない 未来の日本の集落を映す 

 じゃあ、道の駅へ。愕然です。臨時休業の張り紙が・・・。音威子府そばが食べられない。音威子府そばは、駅舎の中にあった「常盤軒」がとても有名でしたが、ご主人がお亡くなりになり2021年2月に閉店していました。吹雪いているなか、ぶらぶらするにしても駅舎の中を見て回るしかありません。

 それが良かった。駅は狭いのですが、バスターミナルも兼ねていますので、JRとバスのチケット販売窓口があり、天北線が活躍していた頃の記念品を数多く展示される資料室も併設されています。

天北線の思い出

 資料室に入った直後でした。10人ほどのグループがドカッと乱入してきました。「ザザッザザッ」と物音が聞こえるように狭い資料室を動き回ります。駅の看板、切符、鉄道の保守点検など当時を再現する資料や写真が数多く展示されているのですが、値踏みするかのように資料室内を2、3周したら「このガチャ壊れている?」。グループの一人がワンフレーズ発した後、駅前に停車していた車に人の固まりを崩さずに乗って去っていきました。

 まるで疾風です。「あれって鉄道マニア?なに鉄なの?」との疑問符が飛び交う一方、音威子府にはまるで眼中にないのがわかりました。天北線関連のレアモノを探していたのかもしれません。その目当てだけで全国から音威子府をめざすのもアリなのか、ナシなのか。複雑な胸中になりました。

駅内のワークスペースがなぜか心躍らされる

駅のワークスペース

 心に刺さったのは、駅内のワーキングスペース。キオスクがあった場所が閉店に伴い空いた空間に机と椅子を置き、フリーWi-Fiを整備しています。なんの特色はない空間です。でも、目の前に天北線の資料室、すぐ隣にはJRの改札口とバスのチケット売り場。JRもバスも職員さん一人で奮闘しています。

 閉店した常盤軒はシャッターをしめたまま。周囲は雪。昭和の香りがプンプン残り、時間がゆっくりと進む空間に包まれながら、椅子にちょこんと座ってパソコンを開けば何か生まれそうな気がします。「畳敷の小上がりもそばにあります。寝そべって天井の模様を眺めたら、違う世界の入り口が見えるかも。ここで一夜を過ごしたら「面白いアイデアが生まれるだろうなあ」。でも、凍えてしまうのは確実。

駅の小上がり

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