北海道・ふるさとを創る4 音威子府、壊れそうで壊れない 未来の日本の集落を映す 

 そろそろ予約した宿に向かうバスが駅に到着する時間です。音威子府には無料の「地域バス」がありました。村内の主要施設を回っており、今夜の宿は停留所がある天塩川温泉です。道路の脇にはかなり高い雪壁が続きます。かなり慣れていないと車の運転は危険ですし、過疎化と高齢化が進んでいる村にとってプロの運転手が巡回する無料バスはかなり重要な公共サービスだと思います。

 一緒に乗り合わせた方たちは「高齢者センター」や「診療所」で降車していました。それにしても積雪量は半端なかったです。村役場や北海道おといねっぷ工芸美術高校に停車しても、雪壁に遮られて建物の外観がわからないのですから。この工芸美術高校にはとても可能性を感じます。過疎化対策として生徒の多くを村外や北海道外から受け入れており、村の人口の15%程度も占めているそうです。卒業生のほとんどは村を離れるのですが、気鋭の日本画家らを優秀な作家を輩出しています。

 小さな村の過疎化と高齢化への挑戦が確実に成果を上げ、近い将来に予想もしていない新たなエネルギーをもたらすのではないかという予感と期待が消えません。

無料の地域バスが村内を巡回

無料の地域バス

 宿の夕食はざんぎと音威子府そば、そして熱燗です。天塩川温泉に浸かって体を温めて、念願のそばを酒のサカナにします。最高でした。「次回は砂澤ビッキさんのアトリエとおといねっぷ工芸美術高校をちゃんと取材しよう」。

 驚いたのは翌朝。他の宿泊客は除雪を請け負っている人たちのようで、この大雪に慣れている人たちばかりと思っていたら、雪に埋もれた車を掘り出すのに苦労していました。

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