熱帯樹林のなかにボーイング

南太平洋 4 ナウル 鶏糞で購入したボーイングが熱帯樹林に

 航空機のタラップを降りたら、目の前にボーイングが駐機していました。しかも、背景は熱帯樹林です。建屋も屋根もありません。いわゆる、野ざらしです!

 赤道線上にある島国、ナウルの初上陸はまったく想像したこともなかった風景から始まりました。航空機の青空駐車ってあるんだ?前回まで楽園として知られるフランス領ポリネシア、タヒチ島を軸に取り上げてきました。今回は日本の皆さんから見ると南の楽園のイメージとかけ離れた南太平洋の厳しい現実をナウルを舞台に伝えます。

空から見たナウル

 

 ナウルをご存知の方は少ないのではないでしょうか。外務省などによると 広さはわずか21.1平方キロメートルです。東京都品川区とほぼ同じ面積に約1万3000人(2019年現在)が住んでいます。上空から丸い島に見えます。

 19世紀、南太平洋の他の島国と同様に欧米の植民地化の嵐に飲み込まれてドイツの支配下に。その後は英国やオーストラリアなどの統治下、1942年から日本が占領。再び英国、オーストラリア、ニュージーランドの統治下に入り1968年に独立しました。

 ナウルが世界で知られるようになっったのは、リン鉱石がもたらした世界トップの富裕国としてです。19世紀末に発見されたリン鉱石は化学肥料の原料になるのです。ナウルの島のほとんどがリン鉱石の鉱床でした。リン鉱石は、数千年、数万年にわたって積もった海鳥のフンや死骸などが島を取り囲むサンゴの石灰分と結合してできあがったもので、グアノと呼ばれるそうです。

 ナウルは太平洋を飛び交う渡り鳥や海鳥の糞が積もって出来上がりました。それが莫大な富をもたらします。チリも積もれば山となるということわざがありますが、リン鉱山になりカネになりました。

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