南太平洋 5 ブーゲンビル島でSDGsを体感する 国連抜きの初のPKOを見る

中立地帯への出入りはボディチェックが必須

 地域PKOが現地に入った時の島はパプア・ニューギニア軍が駐留していましたが、銅山は閉鎖されていました。革命軍はゲリラ戦を展開していたので、いつ銃撃戦が起こるか分からない状況でした。PKOは一度休戦状態に入り当事者同士が平和的に話し合うのが目的ですから、現地入りしたオーストラリア、ニュージーランド、フィジーなどの軍隊はまず島のアラワという港湾設備がある地域に中立地帯を設定しました。

 この中立地帯を出入りする際は、必ず兵士が待つゲートで立ち止まり、銃刀など保持していないかの検査を受けて通過します。夜になると銃撃の音が飛び交うこともあります。その時はさすがに緊張しました。その後内乱収束に向けた経過を簡単に要約すると1998年にオーストリアとニュージーランドの仲介で革命軍と政府は停戦に合意します。将来の独立について賛否を問う住民投票が決まり、2019年に法的拘束力がない住民投票が実施され、圧倒的な多数で独立が支持されました。2021年現在は政府と現地のブーゲンビルが協議しているそうです。

 時間軸をPKOに戻します。形式はパプア・ニューギニア政府、革命軍そして島民ら幅広い声を集めて平和回復に向けて話し合います。大きな樹木を取り囲んで円陣を描くように椅子が並べられ、全員等距離、対等の空間を作り上げます。写真で見ると、強い日差しを避けて討議集会を開いているように見えるますが、マイクを通しての意見交換から緊張感が伝わり、真剣に平和の回復を求めていることがわかります。

続きを読む
3 / 4

関連記事一覧

PAGE TOP