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ポカラ・サランコットの丘へ、村上春樹の「羊をめぐる冒険」ナマステ③
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雨季の夏、マチャプチャレは雲間からしか見えない
翌日、サランコットの丘を目指すことにしました。ポカラからアンナプルナ連峰がきれいに見えるのですが(注;夏休みに行くと雨季に入るのでほとんど見えません)、標高8000メートル級です。観光客が気軽に行けるわけがありません。
代わりにといっては失礼ですが、サランコットの丘に行けばポカラやペワ湖の全景を見渡せます。もっとも丘といっても標高は1600メートルぐらい。ポカラが標高800メートルですから結構な登りが待ち構えています。
ゲストハウスからペワ湖の湖畔を通り過ぎて歩き始めました。サランコットまでは1時間半ほどで着くはずです。タクシーかバスを利用する方法もありますが、せっかく訪れた初めての土地です。見るものすべてが面白くないわけがありません。1時間半の映画を歩きながら見ていると思えば、楽しいに決まっています。
ここは天国かなとふと思います
ペワ湖の湖畔にはレストランが続きます。トタンの屋根や塀で、あるいは茅葺き屋根で組み立てられた簡単な作りです。そのシンプルな建屋に座ると湖を吹き流れる風と空気を感じられ、誰もが気に入るはずです。
ラッシーやチャイを飲みながら、湖上を漂う雲、朝や夕の変化を見ていると「ここが天国だったのか」との言葉が浮かびます。
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ペワ湖のレストラン、開放感たっぷり
100メートル先から音楽が聞こえてきます。初めて聞くサウンドです。電子ハープを基調にいろいろな音が織り込まれていく広がりが感じられます。音質は金属音とは違う「ポカ、ポカ」というメリハリが効いています。
どんな装置で音を出しているのかと思い、音がする場所に歩み寄って見たら、白人の男性がテーブルの上で陶器の壺二つを横に配置していました。陶器の壺をスピーカーの代わりに使い、その響き出していました。ポカラの市場で売っている壺を買って組み立てた自家製です。壺がスピーカーの代わりになるなんて思いもつきませんでした。