• ZERO management
  • カーボンニュートラルをZEROから考えます。

ZEROが住宅価値を高める 地球沸騰とエネルギー高騰がけん引

  いつも散歩している道に「ZERO」と大きく描いた看板を立てかけている会社がありました。housingとあるので住宅会社だと思いますが、経営規模などは全く想像できません。ただ、このサイトの名称は「From to ZERO」。勝手に親しみを感じ、看板を眺めていました。

 最近、住宅価値を決めるキーワードが「ZERO」だと知りました。政府は2025年4月、新築住宅の省エネ基準の適合を義務化する方針ですが、遅くとも30年までに消費エネルギーをさらに20%削減した「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準」を省エネ基準に設定します。

25年に20%削減が義務化

 その1年前の2024年4月からは、ZEHを達成する省エネ性能表示が努力義務化されるそうです。表示を努力義務するとは、言い換えれば広告の表示に加えることのようです。マンションなど住宅を購入する際、ほとんどの人は不動産広告を参考にしますが、物件の選別、評価で「ZERO」が重要なキーワードになります。

 購入物件の価格にも影響しそうです。地球温暖化の影響かどうか因果関係は判明しませんが、今年の夏を思い出してください。気温35度を超える猛暑日が連続し、まるで熱帯のような日々でした。おまけに11月まで気温は20度を超え、秋を飛び越えて冬が到来してしまいました。国連のグテーレス事務局長が地球は沸騰していると警鐘を鳴らしましたが、決して大袈裟な表現とは思えません。

 一方、石油やガスなどエネルギー関連が高騰した結果、電気代など信じられないテンポで上昇、消費者物価は日銀が目指した2%を軽く超える水準で伸びています。毎月、電気・ガス代の支払い伝票を見れば、省エネ住宅が望ましいと考える人が増えるのは確実です。当然、省エネ基準を達成したZEHに人気が集まり、販売価格も高止まりするでしょう。

資産価値を左右

 住宅関連の調査によると、ZEHという言葉を知っている人は増えているそうです。この2年間で3割ほどの伸び率を見せています。2030年以降、ZEHの基準を満たさないマンションなどの物件は人気を失うとともに、中古マンションの資産価値の低下も始まるでしょう。マンションを転売しながら、資産を増やそうという投資家もいますが、家族構成の変化に合わせてマンションを買い替える層は確実にいます。エネルギー価格の高騰に終わりは見えませんし、自らの資産価値を高めるためにも「住宅のZERO」が今後、注目を浴びるのは間違いありません。

 ZEROの意識は省エネ基準にとどまりません。東京都は2025年4月から新築の戸建て住宅に太陽光発電の設置を求めています。都は日本で最もエネルギーを消費している都市として2030年までに温暖化ガスを50%も削減する「カーボンハーフ」の実現を掲げています。かなり意欲的です。合言葉はHTT。「電力をへらす(H)、つくる(T)、ためる(T)」。思わずDAIGOを思い出しましたが、とにかく目標に向かう熱意をギュッと詰め込んだようです。

身の回りのZEROを意識する流れを

 戸建て住宅への太陽光発電の義務化は賛否両論があります。建設費が高額になるうえ、狭い屋根の場合、設置が難しく、電力を自ら作るメリットがどこまで享受できるかどうか。疑問の声は絶えません。ただ、東京は福島など首都圏から離れた地方で発電した電力を持ち込み、消費し繁栄しています。太陽光パネルを設置するかどうかの判断、そして設置の工事費の支払いなどをを通じて、東京都など首都圏の住民がエネルギーについて考え、無駄な電力消費をZEROにしようという意識が高まるのは大歓迎です。

 「ZERO」。ZEHや太陽光発電など様々な場面をきっかけに地球環境の負荷低減を努める身近なキーワードとして普及してほしいです。

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