
JR北海道の黄色線区 存続困難を警鐘 全国の地方交通は赤信号が点滅中
JR北海道に「黄色線区」と呼ぶ赤字の8線区があります。JR北海道が単独で維持するのは困難と判断、自治体などと連携して存続の道を模索する線区を黄色で分類しました。いずれも何度も乗車した経験がある線区ですから、事業継続に赤信号が点滅しており、警鐘を鳴らすJR北海道の意図は十分にわかります。
黄色は単独維持は困難と判断
8線区は宗谷線(名寄ー稚内)石北線(新旭川ー網走)、富良野線(富良野ー旭川)、根室線(滝川ー根室)、釧網線(東釧路ー網走)、花咲線(釧路ー根室)、室蘭線(沼ノ端ー岩見沢)、日高線(苫小牧ー鵜川)。北海道の主要都市を結び、通勤通学のほかに北海道を訪れる外国観光客も利用する路線ですが、8線区の赤字を合計すると2024年度で約148億円。JR北海道の事業規模はおよそ1600億円ですから、8線区だけで10%近い数字の赤字が計上されたらとても耐えられません。
JR北海道は2026年4月、黄色線区の沿線自治体に対し、引き続き運行するため対策として4項目を提案しました。列車運行は引き続き担うものの、車両や施設は自治体が保有する「上下分離方式」をはじめ利用状況に応じた輸送体系の見直し、除雪や駅業務の自治体への移管、自治体への資産譲渡による固定資産税の負担軽減を想定しています。廃線など最悪の選択を避ける窮余の一策といえるでしょう。
JR北海道は全線区が赤字
なにしろJR北海道は全20線区で収支がすべて赤字で、鉄道会社でありながら鉄道事業を維持できない苦境が続いています。毎年、北海道を訪れて宗谷、石北など黄色線区の多くを利用しますが、四季を通じて海外観光客は着実に増加しており、時には満員電車になることも。しかし、全国でも最速の人口減が続く北海道にとって日常利用者の激減を補うほどではなく、鉄道事業を再建する勢いはありません。
むしろ、経営の圧迫要因が新たに加わっています。インバウンドの急増によって新千歳空港ー札幌の運送拡充に向けて投資を迫られ、北海道新幹線の札幌延伸も控えています。事業存続よりも、交通インフラ充実に背中を押され、立ち往生している印象です。
もともとJR北海道はスタート時から厳しい経営が確実視されていました。1987年に国鉄が旅客6社と貨物1社に分割民営化されて以来、JR北海道は広大な路線網(約2500キロ)の管理・運営、冬季の除雪費、さらに急速な人口減が経営に重くのしかかり、鉄道事業は廃線の繰り返しを余儀なくされています。
2025年3月期決算をみても、売上高は前年同月比5・6%増1560億円とインバウンド需要の回復により鉄道運輸収入は増加していますが、営業損益は大幅な赤字。国の支援金により純損益は黒字を確保していますが、札幌駅ビルなど不動産事業や観光需要でやりくりしているのが現状です。
地方交通の現状を映し出す鏡
残念ながら、JR北海道は全国の地方交通が直面している現実を映し出す鏡です。鉄道、バス事業は乗客数の減少、運転手不足などいくつもの要因が重なり、どこも運行維持に四苦八苦。JR東日本が3月に東京など首都圏を抱えているにも関わらず、乗客数の減少を理由に値上げているのですから、全国の地方路線の厳しさはわかるはずです。
北海道のみならず地方の鉄道、バスを利用すると、最初から最後まで乗客は自分1人という時があります。経営の厳しさを改めて感じる半面、線路や道路に走り抜ける自然や街並みに魅了され、今後もなんとか運行してほしいという身勝手な思いは捨てきれません。JR北海道が提案した「上下分離方式」で目の前の閉塞感を打ち崩す答の一つでも発見できたら、うれしい。

