大熊つなげ隊

浪江町に輝きが戻り、地方の課題も照らされる。原発の次は水素なのか

東日本大震災・原子力被害伝承館を回ります。最初に東日本大震災と原子力発電所事故の映像を視聴した後、回廊を歩いて2階フロアにたどり着くと、地震と津波に襲われた当時の映像が数多く流れ、擬似体験するコーナーが現れます。あちこちに掲げられた映像パネルで被災した住民が証言する動画が映し出されるほか、消防隊員の防火服や損傷したまま生徒らが残した品物などが並び、当時の臨場感を伝えようとしています。パンプレットには「災害の自分事化」「福島の経験と教訓の未来への継承」を基本理念に入館者へメッセージを伝えるとあります。その後も放射能汚染で多くの住民が避難した周辺市町村への影響、除染対策などを説明する展示物が並びます。

伝承館は次世代に何を伝えるのか

被災したカバン

被災したカバン

ここまでの展示は事実をしっかり伝えようとする伝承館の役割に従った定石通りといえます。伝承館の勝負はここからと考えていました。最も関心があったのは「次世代になにを伝えるのか」でした。日本国民や世界の人々はこの10年間、震災の被害を多くの映像と文章を通じて感じ取っています。しかし、震災から何を学び、将来に何を伝承するのか。それは人それぞれで異なります。伝承館を建設した国、福島県、関係自治体が伝承館で何を具体的に伝えるのか。福島の浜通りの未来、いえいえ日本の「地方」の未来に大きな役割を担う国と自治体が次世代にどう託すか、を知りたいと思ったのでした。

国主導の水素プロジェクト構想

国主導の水素プロジェクト構想

伝承館の展示の最終章は「復興への挑戦」と題した空間でした。メインテーマは「福島イノベーション・コースト構想」。数十年かけて進める福島第一県発の廃炉作業、ロボットとドローン、エネルギー・環境・リサイクルなど6つのプロジェクトが掲げられています。メルトダウンした原子炉の廃炉作業は多くの難問が待ち構えており、ロボットや除染などで高度な技術開発が急務です。エネルギー・環境・リサイクルでは地球環境の温暖化防止の一つとして高く注目されている水素関連の工業団地の造成が進んでいます。いずれのプロジェクトも国の肝いりで進められています。プロジェクトは確実に前進するはずです。

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