MAZDA1 捨て切れないCar guyの誇り 呪縛を解きロードスターで疾走

 マツダのスポーツカー「ロードスター」がすごい売れ行きを見せています。

ロードスターは前年比で2倍、月販1000台超え

 4代目のモデルが2015年に登場してから7年間が過ぎましたが、2022年1月の販売実績が前年同月に比べ2倍を超え、5年ぶりに1000台以上を記録。その後も勢いが衰えません。火付け役は2022年1月に投入した「990S」。重さが990キログラムと1トンを切る軽量級で、ロードスターの個性をさらに磨き、人気を加速させています。

 初代モデルは33年前の1989年に誕生しました。ライトウェイトスポーツカーとして思い通りに操縦でき、オープンカーを活かした個性的なデザインが世界を驚かせます。クルマ本来の楽しさを体感できると欧米で大ヒット。出張で訪れたカナダの石油会社の社長らが「ロードスターを買ったぞ、これで金髪の彼女を乗せて走るんだ」と自慢し合っているのを見て、ロードスターの底力を知ったのを思い出します。日本や欧米の自動車市場は高級化が進み、メーカー各社は2人乗りのスポーツカーの開発から手を引いていました。マツダはスポッと空いた市場の穴にピタリとはまるロードスターを生み出し、大衆車メーカーの殻を破ることに成功したのです。

 ロードスターの衰えぬ高い人気は、マツダが追い求めた車作り、ブランド戦略を体現しています。ちょっと大きな通りを歩いてみてください。4代目ロードスターがどんどん走り去っていきます。ドライバーの多くは男性ですが、「自分はロードスターを運転しているんだ」。すれ違うクルマのドライバーや歩行者の目をそれなりに気にしているはずです。ロードスターを運転している誇りを隠し切れず、見て欲しいというオーラが放たれています。

 近所に初代モデルを持っている方がいるのですが、最近は自宅玄関前に駐車して手入れする姿をよく見かけます。中古車販売店も同じです。中古のロードスターが店頭に2、3台並ぶのですが、気がつくと売れてしまい他の中古ロードスターと入れ替わっています。マツダの夢が叶いつつあるのかなと実感しました。

最近のマツダはロードスターが切り拓いた道をなぞっているかのよう

 最近のマツダは当時のロードスターが切り拓いた道をなぞっているかのようです。開発陣は急速に広がる電気自動車の普及に背を向けるかのようにエンジンやシャシーなど従来のクルマ技術の可能性を追求しています。スカイアクティブを冠した様々な技術は、例えば高燃費でもトルクが太く、加速感を楽しめるエンジンに表現され、シャーシーは「人馬一体」と表してハンドルやシフトを操作する快感を覚えさせてくれます。デザインも好き嫌いはあるでしょうが、ひと目見るなりマツダ車とわかる外観に揃え、マツダの立ち位置はここだと指差しています。

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