
原油1バレル111ドル 減税も物価も株価も「ばけばけ」高市首相はどう説明
「ちゃぶ台返し」とは、こういう時に使うんだと痛感。過去1年間、日本が議論し、実行をめざしてきた経済政策が一気に根底から覆り、崩れ去る瞬間を見た思いです。
その瞬間とは原油沸騰です。2026年3月8日、ニューヨーク原油先物市場(WTI)が1バレル111ドル台に飛び上がりました。2022年7月以来、3年8カ月ぶりの高水準で、前週末比で20%以上の急騰です。
イラン情勢で原油が沸騰
引き金は説明するまでもなく、米国のイラン攻撃。中東地域の政情は緊迫化し、原油供給が不安定化した結果です。早期終結の見通しは立っておらず、世界経済の先行き不安が加速しますが、なによりもトランプ大統領が引き起こした災厄は日本経済にとっても大打撃。
暫定税率で割安になったガソリン価格はすでに飛び上がっており、原油価格の高騰が続けば、暫定税率があった時の価格を上回るでしょう。暫定税率が消えたにもかかわらず、価格が上昇するなんて元の木阿弥より最悪の事態。トラックなど物流会社がホッとしたのも束の間。新たなコスト増で運賃などが再び高くなるのは間違いありません。
消費減税の効果も雲散霧消しそうです。これから国会で消費減税を議論しますが、仮に食品で8%減税が実現したとしても、原油沸騰が押し上げる消費者物価の上昇率を考えたら糠に釘。なにしろ、この2年間の食品値上げの理由は物流コストやエネルギーコストの高騰が主因です。相次ぐ値上げ幅を考えたら、食品の消費減税効果はひと飲みで消えそう。
日米の株価は暴落
日経平均6万円台をめざして駆け上がってきた株価は、世界景気の悪化を先取りして一時4000円も急落。2025年から始まったトランプ関税の嵐が可愛く見えるぐらいに経済環境が荒れるのはこれからです。
日常生活に欠かせない電気・ガス代も警戒しなければいけません。この冬は家計への補助金でひと息つきましたが、期間限定です。代わる財源の手立てができないまま、消費減税など減税を連発する政府に電気・ガス代の補助金を継続できる余裕はあるのでしょうか。
原油価格は中東情勢が沈静化する見通しが見えない場合、1バレル150ドルに跳ね上がるとの見通しもあります。2008年7月に史上最高値圏とされた水準ですから、18年ぶりの危機的状況に追い込まれます。原油輸入のほとんどを中東に依存している日本は、まともに急騰によるコスト増に襲われます。
円安進行が追い打ち
日本経済の足元がふらついたら、現在の円安は一段と進行するでしょう。1ドル160円を突破すれば、食品はじめ物価は原油高騰に加わる円安を理由に押し上がります。皮肉にも円安によってトランプ関税の負担増は相殺されるかもしれませんが、日本経済全体、とりわけ個人消費の冷え込みなどのマイナス効果を吸収できるわけがありません。
日本はまさに「ばけばけ」の瞬間に直面しているのです。NHKの朝ドラ「ばけばけ」は価値観や暮らしが劇的に「変化する」する明治時代に、主人公が怪談(お化け)を愛しながら、「化けて」生き抜く様を描いています。
今は令和の「ばけばけ」。高市首相は国民に向かって説明する時です。残念ながら、トランプ大統領のイラン攻撃については何を語っていません。イラン攻撃が国際法に違反するかどうかを問われても「しばらく時間をいただかないと、法的な評価ができるものではない」などと明確な答弁を避けています。米国への批判によって日米関係が悪化すれば、中国やロシアを利するとの懸念があるそうですが、国民の日常生活よりも日米関係を最優先するとしたら困ってしまいます
総選挙で自民党だけで国会の3分の2を握る最強政権です。高市首相の政治姿勢を考えたら、いつも通りに国民に向かって歯切れ良く語るのは当然です。期待しています。

