鵜川 カムイザウルス

北海道を駆け抜ける・むかわ町)シシャモ、化学賞・鈴木章氏に続き、恐竜「まちおこし」もノーベル賞級

 むかわ町といえばシシャモ。大好きな魚です。干したシシャモを軽く炙って丸ごとガブリ。香りと味を楽しんだ後、熱燗を飲んだらもう最高!。

 シシャモは日本の固有種で北海道の太平洋沿岸でしか漁獲できません。スーパーの店頭に並ぶ「カラフトシシャモ」とは丸っきり別物。一口食べれば、シシャモを漢字で柳葉魚と表記する意味がわかるはずです。最近は漁獲量が少なく、価格が高すぎて手が届きません。むかわ町の道の駅「むかわ四季の館」で人気No. 1の「ししゃもの昆布巻き」を買って、満足しました。ちなみに11月1日は「シシャモの日」。

鵡川町 恐竜

道の駅は化学賞の鈴木さんのギャラリー

 ししゃもに並ぶ名産と呼ぶには大変失礼ですが、2010年にノーベル化学賞を受賞した鈴木章さんの出身地です。実家は乾物・海産物の老舗で、受賞時にテレビ出演した実弟の譲さんが醸し出す個性たっぷりの味わいが「シシャモのむかわ町」のイメージをさらに高めました。道の駅「むかわ四季の館」に記念ギャラリーが併設され、鈴木章さんの胸像やゆかりのある品が展示されています。ギャラリー完成直後、実際に見学しましたが、郷土愛をとても感じる展示でした。

鵡川町 恐竜

 最近、シシャモ同様、絶賛売り出し中が「むかわ町穂別恐竜博物館」。道の駅から車で30分ほど走る穂別地区にあります。結構、距離があって走りがいがありますよ。

1875年に穂別町で発見

恐竜の化石発掘は1975年から。77年に首長竜と判明。82年に鵡川町と合併する前の穂別町が保管のために博物館が開館しました。2003年には新たな化石が発見され、ハドロサウルス科の新種と判明、穂別町が恐竜の町として注目を浴びます。

 2006年に鵡川町と合併して「むかわ町」となり、むかわ町立博物館と改名。2016年に新種の化石は「むかわ竜」と愛称が決定しましたが、全国的な話題を集めた恐竜の新発見だっただけに、穂別町の元町民のみなさんはちょっと心残りだったはず。

鵡川町 恐竜

 むかわ竜など恐竜の化石発掘を巡るエピソードは、とてもおもしろいですよ。1975年、最初に化石を発見した荒木新太郎さんは穂別町でよく見つかるアンモナイト採集家で、偶然に拾った骨の化石から新しい物語がどんどん生まれていきます。

 化石の正体が明らかになるまで、首長竜の権威である東京学芸大学の佐藤たまき先生(現在は神奈川大教授)、世界中で恐竜化石を発掘する北海道大学の小林快次先生ら恐竜ファンならワクワクする世界的な研究家が登場、ついに国内最大級の恐竜全身骨格化石「カムイサウルス・ジャポニクス」が発見され、むかわ町が世界に飛翔します。

鵡川町 恐竜

カムイサウルスなど圧巻の陳列

 恐竜博物館は半年前の2026年4月に新館が完成。ちょうど週末だったこともあって、道内から多くの家族連れが訪れ、賑わっていました。博物館自体はこぢんまりしていますが、展示や演出が予想を大きく超え、素晴らしかったです。

鵡川町 恐竜

 まず「カムイサウルス」の全体骨格など再現された恐竜たちの迫力は期待以上です。館内の床はガラス張りした部分があり、カムイサウルスの化石が実際に発掘された当時のイメージを体感できます。

鵡川町 恐竜

別棟になりますが、首長竜「ホベツアラキリュウ」の骨格が空に泳ぐ様を展示され、ずらりと並ぶアンモナイトの陳列も圧巻。穂別周辺だけでなく日高地方で発見された化石を加えており、こんなにたくさんの種類を見たのは初めてです。

 館内で流れる映像が素晴らしかった。2カ所の壁に恐竜が大隕石の地球衝突で壊滅的な打撃を受けるスートリーなどが短時間で繰り返し映し出されますが、わかりやすく、しかも美しい映像に魅せられました。3度も見ました。

鵡川町 恐竜

  なによりも感動したのは化石発掘と展示にかけた地元のみなさんの熱量です。発掘の経緯を紹介するパネル、道具、化石から骨格を掘り出すクリーニングなどをわかりやすく展示。また、スタッフが着用するTシャツのデザインもいいんです。迷わず買いました。

 「世界でもトップクラスの恐竜博物館を見てきた」。そんな奢りがありましたが、むかわ町恐竜博物館は見事に覆してくれました。

むかわ町 

 幼い頃に恐竜に取り憑かれて以来、これまで世界最高の恐竜博物館であるカナダのロイヤル・ティレル博物館、米メトロポリタン博物館を2度訪れています。日本では、福井県が博物館を拡充して世界3大恐竜博物館と観光名所に仕立てていますが、福井県の恐竜ブームの引き金となった石川県の手取川流域で40年以上も前に恐竜の化石探しで歩き回っていました。

熱量は世界の博物館に負けない

 もちろん、むかわ町の博物館は展示規模でかないません。でも「恐竜っておもしろいよ」と語る世界最高クラスの熱い思いを十分に感じます。福井県の博物館は世界3大恐竜博物館とぶち上げ、観光名所になりました。自らアピールするのは恥と思うほど地味な福井県があれほど恐竜を世界に喧伝するのは驚きです。それだけ人々をワクワクさせる魅力を創出し続けるのでしょう。

 むかわ町の首長竜やカムイサウルスが昇竜する日も近いですよ。

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