世界の金融センター、ウォール街

「東証」Buy ? Sell ? 自らの改革あって日本のプライムが世界に近づく

 もっと見逃せないのが東証の体質です。東証を運営する日本取引所グループは、大阪取引所、東京商品取引所などを傘下に収めて日本の投資商品の競争力を拡充し、金融市場のグローバル化に取り組んでいます。

JPX、証券業界は自ら改革してプライムをめざして

 しかし、東証時代からの体質を引き継いでおり、経団連と同じいわゆる「民僚」の典型例です。ニューヨークやナスダックなどに対抗するというのは建前。東証を世界に向けて発信しようと本気で考えている人は残念ながら数少ないのです。新しいことに挑戦する姿勢はなく、保身に終始します。経営トップは日本の証券会社出身で占められ、当然ながら視線は常に証券会社の利害に向けられます。

 2018年11月27日、日本取引所(JPX)は清田瞭最高経営責任者(CEO)が上場インフラファンドで内規違反を犯したと発表しました。タカラレーベンなどが上場したインフラファンド2銘柄の発行済み1%を保有しており、1億円に相当したそうです。清田CEOは2013年に東証社長に、15年に日本取引所CEOに就任しています。出身は大和証券で、大和証券グループ本社取締役会長などを経て東証へ移っています。説明するまでもありません。金融のプロです。東証の内規を知らないってことがあるんですね。

 本人ともお会いしたことがあります。とても紳士です。法的違反でなく内規違反とはいえ、責任を痛感していたはずです。不正が発覚した当時、日本取引所CEOの辞任などが取り沙汰されましたが、2022年4月4日のプライムなどへの移行セレモニーにCEOとしてテープをカットしていました。株式市場のトップとしての適性、日本取引所の透明性など自ら説明することがまだ残っています。

 欧米でも金融の世界は伏魔殿です。裏も表も熟知して法に触れずに巨大なマネーを動かすのが欧米の有力金融機関です。とはいっても、今回の東証改革はグローバル市場への復帰をめざす一歩です。自ら律する厳しさはここで示したい。プライムに上場する企業に対してコーポレートガバナス・コード、地球温暖化の防止策など経済活動のサスティナビリィなどを求めています。東証、JPX、日本の金融業界は自らの改革を示し、国内外に対してコーポレートガバナンスの実力を示すことも必要です。李下に冠を正す、ではありません。

世界の誰もが信頼に値する投資環境が目の前に示さなければ、東証はもうローカル市場のままです。

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