
日経平均7万円が教える日本経済への警鐘 止まらない製造業の衰退
日経平均が史上最高値を更新しています。5月29日の終値は1636円高の6万6329円。5月は月間で7044円と12%上昇、4月の8221円に次ぐ大幅高。まさに沸騰中、日経平均7万円が目の前に迫ってきました。ようやく日本経済がかつての勢いを取り戻してきたと手放しで喜びたいのですが、沸騰相場は日本の実力を反映しているわけではありません。むしろ、基幹産業である製造業の沈滞に危機感を募らせる警鐘を鳴らし続けています。
牽引は、海外勢が圧倒するAIと半導体
沸騰相場の牽引は人工知能(AI)と半導体。東証プライム市場の8割近い銘柄が上昇する全面高の展開とはいえ、内実はAI投資に全集中するソフトバンク、半導体製造装置の東京エレクトロン、アドバンテストの3社が上昇幅の過半を押し上げています。先物で囃し立てられ、上げ潮に乗り遅れるなとばかりに買いが殺到する危うさも見落とすわけにはいきません。
しかも、主役は日本企業ではありません。AIは米国と中国、半導体は台湾と韓国がそれぞれ世界の2強。残念ながら、日本の実力はその他大勢に近い。米スタンフォード大学のAIランキングで日本は9位。実力は数字が示す順位よりずっと後ろ。総合力でみても、デジタル競争力は69カ国・地域中30位。わあ、もう追いつけない瀬戸際。
それじゃあ、AI、半導体に続く日本の基幹産業である自動車、機械など製造業に期待できるのか。輸出額は一見、大幅な円安が手伝って堅調ですが、実態は輸出数量が減っても円換算でかさ増しする着太り状態。
自動車、工作機械は輸出減
2024年以降をみると、 自動車の輸出は2 年連続の減少しています。日本自動車工業会によると、2025年の輸出台数は前年比1・0%減の417万台。コロナ禍前の2019年実績に比べ13・4%も減少しています。海外の現地生産体制が整って輸出が抑えられている実情がありますが、EV需要が伸びた欧州向けが減ったうえ、認証の不正問題で生産停止するメーカーが相次いだことが影響しました。
一般機械・工作機械は、半導体製造装置を除くと世界的な設備投資の冷え込みから前年割れが続いています。最大の輸出先である中国が不動産不況などの景気減速で建設機械や金属加工用の工作機械が尻すぼみしたほか、中国国内で生産する工作機械の技術水準が進化していることもあります。
石油化学製品も振いません。 エチレンや汎用樹脂などは 中国・アジア勢の圧倒的な大増産で世界的に供給過剰となっており、日本製品は価格競争で太刀打ちできなくなっています。勝負できない汎用汎用品の生産設備は停止・縮小し、高付加価値な「機能性化学品」へのシフトを急いでいるのが実情です。
1980年代から日本経済を支えてきた自動車や機械など製造業は、現在もGDPの2割を占めます。かつて自動車のほかテレビ、VTRなど多くの日本製品が世界的な人気を集め続けましたが、最近はさっぱり見当たりません。近い将来、自動車の主役を演じるEVはすでに中国に席巻され、日本車は後発メーカーの位置付けに。まして半導体やAIはもう気が遠くなりそうなぐらい置いてきぼりを食っています。このままでは、本当にヤバい。
AIの答は日本に独自の強みを求める
まだ諦める段階ではありませんが、AI・半導体ブームが去った後、日経平均は階段から転げ落ちるように暴落するのでしょうか。AIに質問したら、答は以下の通り。
結論から言えば、日本がかつてのように<すべてのハイテク分野で「世界の頂点(独占的トップ)」に戻ることは極めて困難です。しかし、戦略を絞り込むことで、特定のコア領域において「世界が日本なしでは成り立たない独自の強み(不可欠な存在)」として勝ち残ることは十分に可能す。
「日本なしでは成り立たない独自の強み」って何?。答を見出す時間を稼ぐためにも、自動車や工作機械など製造業に頑張ってもらうしかないみたい。

