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ニデック、エアの粉飾は見抜けない?業績・経営者を素朴に直視すると「嘘」が浮かぶ

 ニデック、KDDI子会社、エア・ウォーター、オルツ・・・優良企業と謳われた大企業、そのグループ企業、スタートアップ企業で不正会計が相次いで発覚しています。東京証券取引所の厳しい審査に叶い、株式上場している企業がほとんど。本来なら、経営情報の開示や内部統制などリスク管理で合格しているわけですから、あってはならない事態です。

世間の評価に惑わされずに

ひた隠す不正を見抜くことはできないのか。答はもちろん、できます。理由はとっても簡単。世間の評判に囚われず、自身の眼で素直に眺め、経営者、業績を直視することです。自身が当たり前と考える常識とかけ離れた違和感を覚えたら、すでに黄信号。改めて業績や経営者の発言を精査してください。それでも、疑問が解けなければ、もう赤信号と確信する時です。

 公認会計士並みの専門知識と経験は不要です。ニデックなど高収益企業として有名な株式銘柄には世界の大手会計事務所が監査法人を務めていましたが、全然見抜けませんでした。多くの専門家を抱えながら、不正を見抜けない「節穴」と呼ばれても反論できないでしょう。

 もっとも、自身の損得を考えたら、どうしても迷います。上場企業の株主なら、「優良銘柄をせっかく保有しているのに、ここで手放したら近い将来にもたらすかもしれない大儲けを失うかもしれない」。でも、株券が紙屑になったら、おしまいです。

自らの眼力を鍛え、信じること

 日本最高の哲学書といわれる「正法眼蔵」を記した道元は、「師の正邪を見極めてこそ、悟りの真偽も明らかになる」と説いています。優秀と言われている人物であっても、その言動や教えが理にかなっているか、本質を突いているかを自身でしっかり吟味する姿勢が大事。世間の評判に惑わされてしまわずに自身の眼力を鍛え、信じることから始めることを求めています。

 かなり強引ですが、日本の企業経営で「世間の評判を惑わした師」を探すと、ニデックの創業者・永守重信氏が典型例でしょうか。

 永守氏は株式市場の先行きを見抜くカリスマ経営者と注目され、彼の一言で株式相場が変動したほど。しかも、M&Aの達人と呼ばれ、ニデックが仕掛ける標的はどこかで株式市場は動揺しました。

 2024年12月、牧野フライス製作所を日本初の合意なき企業買収に踏み切った時を思い出してください。永守氏は技術開発力、経営力が優れる牧野フライスはニデック傘下に入れば企業価値は一段と高まると説明していましたが、突然でしかも強引な買収提案から永守氏の焦りを強く感じました。

 主力の小型モーターに続く事業として電気自動車(EV)の駆動系部品に注力しましたが、狙った中国市場で敗退。2024年3月期は過去最高の売上高を記録したものの、利益は減益に。常に増収増益を堅持するニデック神話は揺らぎ、名門の牧野フライスを取り込んで帳尻合わせを急ぐ永守氏の胸中がはっきりと見えました。

 産業ガス大手のエア・ウォーターはまるでニデック丸写しの構図です。グループ含め37社で不適切会計が行われ、直近6年間で売上高を計667億円、営業利益を計209億円を水増ししていました。独裁的な経営を進める豊田喜久夫前会長による業績至上主義が元凶で、 外部の特別調査委員会の報告書によると豊田氏は「お前はクビや」「今まで払った給料を返せ」などと幹部に迫ったそうです。恫喝するセリフまで永守氏とほぼ同じなのは、ちょっと笑えます。

 人工知能のスタートアップとして人気があったオルツは、上場益と株価維持を狙って売上高の9割を架空取引で計上。KDDIの広告子会社も循環取引で偽の決算を仕込みました。いずれも、身の丈を超えた業績の数字をでっち上げ、株価上昇や自社の評価を捏造するものです。

 強欲に囚われ、不正行為に手を染めても「犯罪」と感じない経営者が絶えません。残念です。

 札幌市の繁華街、ススキノ交差点にはブラックニッカの紳士が微笑んでします。英国で「ブレンドの王様」と呼ばれた人物がモデルですが、企業も事業、人材など多くの経営力がブレンドされて、素晴らしい業績が出来上がります。美味しいウイスキーと同じです。楽しみ、気持ちよく酔いましょう。悪酔いは禁物。飲みすぎてしまい、冬のススキノで寝込んでしまったら、凍死しますよ。ニデックやエア・ウォーターの投資はもう凍死? とても洒落になりません。

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