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エディオン・久保さん、ヤマダと経営統合でサンフレッチェを凌ぐ最強の座を手にできるか

 エディオンがヤマダホールディングスと経営統合します。店舗数でいえば、家電量販第3位と最大手の経営統合。家電量販のトップの座を固める最強のコンビといえますが、経営環境は「YES」と言いそうもありません。むしろ、経営統合と提携を繰り返してきたエディオンが最大手のヤマダを選ばざるを得ない経営環境が家電量販の窮状を正直に語っています。久保充誉会長は地元のサンフレッチェ広島をJリーグ強豪に育て上げました。果たしてヤマダとの経営統合で次代の潮流を捉えることに成功できるのでしょうか。

 エディオンの久保会長が貫く経営戦略にブレはありません。そう、家電量販とJリーグで頂点を極めること。

デオデオよりもサンフレッチェに注力?

 もう25年以上も前の2000年に入った頃。日本経済新聞社広島支局長を務めていたため、久保さんを何度も取材する機会がありました。当時の会社名はデオデオ。父親が広島市で創業した家電量販店を継承した後、全国チェーンへの野望を語ってくれました。

 家電量販店は全国の有力チェーンが群雄割拠する時代を終え、ヤマダ、コジマ、ケーズデンキなど北関東出身の量販店が全国制覇に向かって邁進。福岡のベスト電器、東京・秋葉原の石丸電気などが陥落寸前。本拠地が広島市のデオデオは中国地方でチェーン展開を急いでいましたが、むしろ攻めよりも守りを優先する経営を強いられます。

 ところが、久保さんの胸の内はデオデオが支援する「サンフレッチェ広島」をどう再建するかに精力を注いでいるかのように映りました。1994年にはJリーグ準優勝を果して強豪の地位は不動と思われていましたが、2000年からは下位に転落、2002年にはJ2へ降格。

 デオデオの決算発表の席上でもいつのまにかサンフレッチェ広島の再建やスタジオ問題が質問に及ぶことがたびたび。広島市はプロ野球の広島カープの熱烈な応援で知られていましたが、サンフレッチェ広島も若者を中心に急上昇。家電量販店デオデオにとっても大事なお客様。売り上げはサンフレッチェ広島の成績に左右される雰囲気でしたから、楽しそうに、しかも熱くサンフレッチェ広島について答える久保さんを見ても違和感はありませんでした。

エイデン、石丸などと統合

 もちろん、全くの勘違い。直後の2002年に名古屋市のエイデンと経営統合して持ち株会社のエディオンを設立。その後、九州のベスト電器系で関西地盤のサンキュー、東京・秋葉原の石丸電気などを傘下に収めて西日本から東海、関東へ勢力を広げ、全国第3位の店舗数を展開するチェーンに育て上げました。

 サンフレッチェ広島もJリーグ上位に定着、2024年には広島市中心部に新スタジアムを開業しました。その勢いで2025年はルヴァンカップで優勝し、Jリーグで優勝争いを演じる強豪の座を不動のものにしました。

 残念ながら、エディオンはサンフレッチェ広島と真逆に守勢に転じています。家電需要は加速する人口減で落ち込み続けているうえ、ネット通販に足元を脅かされ、さらにニトリやアイリスオオヤマなど家具大手が参入、価格競争力が激化しています。

価格破壊も限界に

 家電量販の大量仕入れによる低価格販売というビジネスモデルはもう息絶え絶えに。予兆は現れていました。ヤマダは2008年6月、公正取引委員会から独占禁止法に違反したとして 排除命令を受けています。必要な費用を負担しないまま、納入業者から延べ約17万人を不正に派遣させていました。展示用商品や返品を「展示処分品」として販売させるなどかなり悪質です。公取委が警鐘を鳴らしているにもかかわらず、ヨドバシカメラ、ビックカメラと家電量販店の摘発は続きます。

 エディオンはどうでしょう?2024年8月、中小企業庁が公表した「下請けいじめ」調査でタマホーム、一条工務店と並んで最低評価を下されています。エディオンはプライベートブランドの拡大、購入後の修理などアフターケアの充実などで価格競争からの脱却を急いでいますが、結局は納入業者からの仕入れ値をさらに削り、販売価格を下げるしかない窮地に立っている証拠です。

 もちろん、ヤマダは住宅メーカーを買収、エディオンはニトリと資本提携するなど家電量販の殻を破る挑戦を続けています。

 ヤマダの山田昇会長は「スケールメリットを追求し、家電小売りを超えた価値を創造する」、エディオンの久保氏会長は「プライベートブランドの研究開発が経営統合によって一層進む。新たな価値創造を追求する取り組みをしていきたい」と共に説明しますが、目の前の危機突破には結局、規模拡大が第一と考えました。店舗数で最大手と第3位の経営統合ですから独占禁止法の審査が必要ですし、エディオンは家電販売で競合するニトリとの資本提携しています。厄介な交渉を控えながらも、統合の道を選ばざる得ない「苦渋の決断」だったことが浮かび上がります。

 久保さんが家電量販の厳しい戦いに費やしたエネルギーをサンフレッチェ広島の勝利で充電する日は続きそうです。

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