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ホンダ

ホンダが消える69 三菱からOEM、 日産との3社連携は「HONDAの翼」を奪う

 ホンダが三菱自動車のタイ工場で生産するピックアップトラック「トライトン」を調達し、2028年にも東南アジアでホンダブランドとして販売します。他の車種もOEM(相手先ブランドによる生産)に加え、ラインアップを充実する方針です。

3社連携に固執

 狙いはホンダは、日産自動車、三菱自との3社連携強化。ホンダは東南アジアで高い人気を集めるピックアップトラックを自社生産していないため、「トライトン」を加えて苦戦する東南アジア市場をてこ入れすると説明していますが、三菱自にOEM調達などで直接的な利益を与えてより懐深く取り込むつもりです。

 ちょっと理解できません。なぜ、ホンダが日産自動車、三菱自動車との3社連携に固執するのか。どう考えても無理筋だからです。

 3社連携に至った経緯を簡単に振り返ります。ホンダは2024年3月に日産とEV、ソフトウエアの協業に合意。その4ヶ月後に日産と資本提携する三菱自が合流することになり、8月1日に「戦略的パートナーシップ検討の覚書」を正式締結しました。

 3社連携はどんどん膨らみ、ホンダと日産が経営統合するまで発展しましたが、当時の内田日産社長が日産を馬鹿にしていると激怒して2025年3月にご破算に。3社の信頼関係は消え、「大山鳴動して鼠一匹」を絵に描いた典型例と呆れていたら、1年半後の2026年8月末にホンダは日産自動車と次世代のソフトウェア定義車両(SDV)に関する共同開発契約を締結しました。

 「トライトン」調達は、SDVであまりメリットを得ない三菱自に手っ取り早い利益を享受させ、ホンダ、日産と共同歩調を維持させる「撒き餌」のようなものです。

3社連携は弱者連合

 繰り返しますが、ホンダがここまで日産、三菱自の3社連携に固執するのか理解できません。弱者連合にしか見えないからです。

 まず経営規模の拡大は追い風になるのでしょうか。3社の生産(2025年実績)を合計すれば730万台。トヨタグループの1122万台、フォルクスワーゲンの900万台には及びませんが、現代自動車とほぼ同じ世界3位レベル。ただ、独国内工場の閉鎖に追い込まれているフォルクスワーゲンの窮地をみればわかるように経営規模が世界上位グループだからといって、「強い自動車メーカー」が保証されるわけではありません。

 しかも、ホンダ、日産、三菱自それぞれの経営はとても盤石とはいえません。ホンダは電気自動車(EV)戦略の失敗で上場以来の巨額赤字を計上したばかり。日産も2期連続の巨額赤字を経験、最近はヒット車も現れていますがまだ治療途中。三菱自は「デリカ」「トライトン」などアウトドア車で独自のシェアを確保していますが、新たな成長力は期待できないでしょう。

 3社連携に固執する限り、ホンダ、日産、三菱自の経営力が回復するまで相乗効果は発揮できません。失礼ながら、2024年から始まった協業に関する交渉過程をみていると、これから成果を引き出すために労する経営努力は時間の無駄になるとしか思えません。

 ホンダの三部敏弘社長ら経営陣は単独で生き残る自信を失っているのでしょうが、今こそ自身の強さを改めて見つめ直す時です。ホンダの強さとは何か。創業以来、守ってきたアイデンティティが雄弁に語っています。

創業者が「ウイングマーク」込めた思い

 ホンダブランドのシンボル「ウイングマーク」をみてください。創業者の本田宗一郎さんは「世界一を目指し、世界にはばたいて飛んでゆく」という強い意志と意気込みを込めて翼の形状を選んだそうです。モチーフはギリシャ神話の勝利の女神「サモトラケのニケ」。ルーブル美術館に入り、大きな階段の前に立つと踊り場に「ルーブルにようこそ」と出迎えてくれる大理石像です。

「ホンダは日本一ではなく世界一を目指すんだ、世界で競争するんだ」。本田さんらしい熱い想いが広げた翼に象徴されています。最近のホンダは、自ら翼を畳み、目先の生き残りに汲々としています。ウイングマークに込めた創業者の思いと逆行しているかのようです。

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