
副首都は「ミニ東京」拡散、地方活性化なら東京、札幌、福岡の3極で日本改造を
本末転倒と言って良いのではないでしょうか。副首都構想です。
本来の目的は大規模災害時の首都機能の代替を担う都市を選定すること。副首都に指定されれば、国の機関や交通網などの整備され、国からの補助金なども想定されます。地方の活性化というメリットがあるとの見方がありますが、果たしてそうでしょうか。
「大阪ありき」は消えたが
当初は日本の維新の会が「大阪ありき」の露骨なゴリ押しに嫌気がさしてに憤慨しましたが、冷静に考えれば大阪以外の札幌や福岡などが指定されれば、東京一極集中が是正できるだけでなく、地域の独自性を際立たせるチャンスと思いました。
ところが、2度目のガッカリ。「副首都は東京に次ぐ首都機能を移植する」といった未来の日本創造を感じさせる意気込みなど皆無で、あそこもそこも副首都という「ビッグセール」で選定することが判明したらからです。
固まった指定要件をみると、東京圏と同時に被災の可能性が低く、道府県内に総人口の1・2%(約150万人)以上の大都市があること、さらに直近3年の道府県の総生産が日本のGDPの1・1%以上(約14兆円)であることが求められました。
要件通りなら、大阪、名古屋、札幌、福岡
要件を満たす大都市は、大阪府の大阪市、愛知県の名古屋市、北海道の札幌市、福岡県の福岡市の4都市だけ。指定要件の設定がどういう基準で決まったかについて疑問がありますが、これら4都市に絞り込むことが前提だったのかもしれません。
しかも、要件を満たすなら、そのまま副首都の選定するそうです。大阪、名古屋、札幌、福岡の4都市は事実上、当選確実です。
これでは、政令指定都市、中核都市と同じ延長線上にある都市開発構想と同じ。副首都選定を理由に国の予算を投じて交通や防災などの都市インフラを強固にして、東京から国の機能の一部を移植するといっても、4都市に分散するだけ。
言い換えれば、「ミニ東京」を地方に拡散するだけです。有事の際の安全保障戦略の見地に立てば、首都機能を4ヶ所に分散するのは賢明といえるかもしれませんが、平時は中途半端な役割しか果たせない副首都があるだけ。
むしろ、弊害が生まれるのではないかと心配です。東京都になりたい大阪市はともかく、名古屋市、札幌市、福岡市は地域の個性を体現する街です。地方自治の観点から見れば、東京都と対極の街づくり、自治体運営が求められ、それが国政とは異なる地方自治の実践を促し、住民の福利厚生、豊かな生活を実現することが期待されるのです。
副首都の選定によって名古屋、札幌、福岡が「ミニ東京」として地方自治の根幹を失い、国がインフラ整備に口出し、東京都のコピーになってしまったら、個性豊かな地方は消滅してしまいそうです。
南海トラフを考えたら、大阪、名古屋は落選?
新幹線構想を思い出してください。ローカル駅は消滅し、みんな「東京駅」になってしまう怖さを覚えませんか。地方を活性化すると言いながら、「東京」を地方に輸出しているのと同じです。
ただ、まだ救いがあります。副首都の選定を原点に返って、大規模災害が発生した際の首都機能の代替を最優先するなら、札幌、福岡の2都市に絞り込むべきです。
近い将来発生すると予想される南海トラフ地震の場合、西日本を中心に甚大な被害が広がり、名古屋市はもちろん、大阪市が面する大阪湾沿岸にも及ぶ可能性があります。災害の専門家によると、2000年代から名古屋市と大阪市の地殻・地盤は非常に脆弱で、都市インフラに大きな打撃を与えると警告されています。東京圏も被害と無縁とは断言できないでしょう。
札幌と福岡の2都市に絞って首都機能を移転し、国の予算を投じて地方活性化の効果を目に見える形で創り上げることが副首都構想を最大限に活かすことだと考えます。東京一極集中が東京、札幌、福岡の3極に分かれて日本全土を再創造し、安全安心に、そして潤いのある国民生活を実現する。これこそ令和の「日本列島改造論」ではないでしょうか。

