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ヤマダ・エディオン PBは家電量販を「独禁法の罠」から解き放つか 

 公正取引委員会のHPを検索してみてください。「私たちの暮らしと独占禁止法の関わり」のページを開くと、「Y社」と匿名扱いですが、家電量販最大手のヤマダホールディングスがわかりやすいイラストを使って、独禁法違反の事例として紹介されています。

公取委のHPに「Y社」

下の絵のように、家電販売業大手のY社は冷蔵庫やパソコン等の納入業者に対し、店舗の新規オープンの際に、通常必要となる費用を支払わずに従業員等を派遣させていました。あらかじめ納入業者との間で派遣の条件について合意することなく、派遣された納入業者はその納入業者の商品であるかどうか関係なく、商品の陳列・補充や接客等を強いられたのです。

 2008年6月、公正取引委員会から独占禁止法19条に違反する行為があったとして 排除命令を受けています。必要な費用を負担しないまま、納入業者から延べ約17万人を不正に派遣させていました。独禁法違反を認定した従業員の派遣数としては過去最大だそうです。かなり悪質です。

 もっとも、家電量販大手が公取委から摘発されるのは”日常茶飯事”。ヤマダと真っ向勝負するヨドバシカメラ、ビックカメラもその後、摘発されており、独禁法違反の連鎖は続きます。 

 家電量販のビジネスモデルはいかにライバルより1円でも安く値付けするか。全国に展開するチェーン網を広げ、家電メーカーから大量に仕入れる購買力を高め、仕入れ値を押し下げる。これに尽きます。ヤマダなどの購買力は大手家電メーカーですら怖気付くのですから、中小メーカーがヤマダから「従業員を派遣して陳列や接客を頼む」と無理難題を強いられても断るわけにいきません。

公取委の摘発は”日常茶飯事”

 ヤマダと経営統合を合意したエディオンはどうでしょうか。2011、2012年に他の家電量販と同様、優越的な地位の濫用を理由に摘発、処分されています。40億円の課徴金納付を命令されました。その後の審決などで30億円に減額されていますが、当時の営業利益の3割程度を占める数字ですから大打撃です。

 まだあります。エディオンは2024年8月、中小企業庁が公表した「下請けいじめ」調査でタマホーム、一条工務店と並んで最低評価を下されています。エディオンはプライベートブランドの拡大、購入後の修理などアフターケアの充実などで価格競争からの脱却を急いでいますが、結局は納入業者からの仕入れ値をさらに削り、販売価格を下げるしかない窮地に立っている証拠です。

 家電量販大手のビジネスモデルが経営規模拡大による価格競争という「力勝負」に囚われている限り、公取委は張り巡らした独禁法違反の罠から逃れることができません。

 ヤマダとエディオンは経営統合の記者会見の席上、PB(プライベートブランド)の拡充を急ぐと明言しています。両社は売上高で第1位と第4位、店舗数で第1位と第3位ですから、家電量販のトップの座は揺るぎのないものになりますが、PB拡充によって安売り競争の自縄自縛から抜け出すと明言しています。

 すでにエディオンは家具大手のニトリと資本提携するなど拡充に取り組んでおり、PB比率は35%を突破。ヤマダは住宅メーカーを買収し、生活提案型の販売に軸足を置きましたが、PB比率は11%程度と道半ば。エディオンのノウハウを活用して、経営統合の相乗効果を一気に高め、過去の大量仕入れによる安売りのスタイルを打破する腹づもりです。

PBでも「下請けいじめ」最低評価

 しかし、PBは残念ながら「独禁法の罠」を突破する勝負手とはいえそうもありません。PB先駆のエディオンが自ら証明しています。中小企業庁の「下請けいじめ」調査で取引先から最低評価を受けた背景には、PBを開発・生産する下請け企業とかなり厳しい価格交渉があり、結局は優越的な地位の濫用と判断される寸前の実情が炙り出されているからです。

 ヤマダ・エディオンがPBを拡充したとしても、ネットや異業種との競争が過熱すれば、今か今かと待ち構えて独禁法の罠を張り巡らす公取委がいます。果たしてPBは家電量販大手が抜け出せない「安売り競争」の宿痾を治癒できるのでしょうか。

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