
下請けいじめ 重工、電機など三菱4社が 最高評価 ブランドを汚す低評価を改善
中小企業庁と公正取引委員会が精力的に展開する「下請けいじめ」が着実に成果を上げています。中小企業庁は2021年9月から半年ごとに大企業と中小企業の取引条件を調査し、2022年9月からは「いじめ」に相当する低評価を得た企業名を公表していますが、効果は絶大。
最高評価は61社に
調査開始から4年後の2025年9月時点の調査で公表された522社のうち、下請け企業から最高評価を受けた企業は61社を数えました。全体の11%を超え、過去最高の水準です。
大幅に改善したといってよいでしょう。なにしろ低い評価を受けた企業は、企業イメージの低下が避けられません。「1円でも生産コストを削りたい」との思いで価格交渉や支払い条件で下請け企業に無理な発注を強いても、「下請けいじめ」企業とレッテルを貼られた場合の代償は予想以上に大きな金額に膨らみます。
「あの有名企業が一般消費者の目に見えない陰で下請け企業から収益を奪っているのか?」。有名企業やテレビ広告を派手に流している企業ほど企業イメージと実態の落差が大きく感じられ、製品の販売などにも影響します。新規採用や転職で繰り返される激しい人材争奪戦でも不利に働きます。皮肉にも企業イメージ低下が下請けいじめ撲滅の力になるのです。
「絶対に下請けいじめのレッテルは剥がすぞ」。強い意思を感じられたのが三菱グループでした。2025年9月時点の調査で最高評価を受けた522社のうち、三菱重工業、三菱電機、三菱電機エンジニアリング、三菱電機モビリティの4社は、下請けの中小企業から価格交渉、価格転嫁、支払い条件の評価3項目すべてで最高の評価を受けました。
公取委との連携も奏功
過去の調査では、三菱重工はじめ三菱ブランドを冠する企業の多くは、中位の評価がほとんど。三菱電機だけが価格交渉で最高評価を得ていましたが、価格転嫁の評価では中位。なかには価格交渉、価格転嫁ともに最低の一歩手前に評価された三菱食品もあります。明治政府が掲げた富国強兵政策で二人三脚を組んだ三菱財閥が下請け契約の交渉や支払いとなると一転、渋くなる様はなかなか妙でした。「あの三菱がいじめ?」と誰しもが思うでしょう。
中小企業庁と連携する公取委の摘発も三菱財閥に打撃となりました。2022年12月、価格交渉で独占禁止法の「優越的地位の乱用」に該当する恐れがある13の企業・団体を公表。トヨタグループを代表するデンソー、豊田自動織機に続き、三菱電機ロジスティックス、三菱食品の2社も名を連ねました。
13社・団体は次の通り。デンソー、豊田自動織機、佐川急便、ドン・キホーテ、丸和運輸機関、三協立山、三菱食品、三菱電機ロジスティックス、日本アクセス、トランコム、大和物流、東急コミュニティー、全国農業協同組合連合会(JA全農)(順序不同です)。トヨタグループに並ぶ製造業は三菱グループだけです。公取委が日本を代表する企業集団のトヨタ、三菱に強く改善を求め、他の企業グループも追随するよう求めている意図が明白です。
今でこそ「下請けいじめ」と言われますが、高度経済成長期の昭和なら右肩上がりの収益を原資に「いつか利益として還元するから」という発注企業の思いを汲み取って受け入れるのが産業界の常識でした。仮に「下請けいじめ」と告発したら発注はストップしてしまい、企業の命運は尽きるかも。強引な支払い金額の減額だけでなく金型部品などを無償で保管させるのも自動車産業などでは当たり前のことでした。
昭和の常識は通用しない
しかし、現在の日本経済はそんな無理難題を吸収する余裕はありません。人口減によって国内需要が伸びず、産業資材や人件費が高騰するなかでの赤字覚悟の受注は到底無理。
中小企業庁の調査では三菱重工や三菱電機など4社が下請けいじめの大幅改善が明らかになっていますが、鉄の結束を掲げる一枚岩の三菱グループです。三菱ブランドを冠した企業のほとんどで大幅に改善しているはずです。日本経済を支える中小企業にとって、良いことです。

