
消費減税、中小飲食店切り捨てに唖然 再びコロナ禍の窮状に追い込む
食料品の消費減税に対する拙い議論に唖然とします。
消費税の減税は、れいわ新選組が2019年の結党時に「消費税ゼロ」を掲げて国政選挙に挑戦、これが先駆けとなって広まっていました。失礼ながら、少数野党が迫っても実現する見通しはなく、具体的な実施策は議論されませんでした。
税制改革の原則は公平感
しかし、衆院で3分の2を超える議席を占める高市政権が実施するとなると話は違います。総選挙の公約で掲げたからを理由に「食料品の消費税を8%から1%へ引き下げる」では済みません。まず減税に必要な5兆円の財源確保ができず、ただでさえ巨額の財政赤字を抱える日本の先行きに不安が広がり、国債の金利は上昇し、ドル円は歴史的な円安相場となっています。
なによりも、税制改革の原則が無視されていることに呆然とします。当たり前のことですが、税金は国民が広く支え合う公平性を守りながら、個人の所得や財産など負担能力を考慮して課されなければいけません。
食料品の消費税の狙いはここ数年、高騰した消費物価に苦しむ低中所得層の負担を少しでも減らすことにありますが、年間の減税額でみると食料品の支出額が多い高所得者の方が恩恵が大きいのです。なんか話が違うと首を傾げたくなりますが、所得層によって不公平感を解消するため、高市首相は残る税率1%分の差額相当分を中低所得層向けに給付し、実質ゼロにする方針を示しています。
飲食店はトリプルパンチ
それでも納得できません。もっと深刻な不公平が残っています。外食産業、とりわけ中小飲食店です。外食は10%のままですが、持ち帰りのテイクアウトや食材購入は1%適用となります。これまで外食で済ましていた人は、コンビニで弁当や惣菜を購入して自宅などに飲食する流れが広がるでしょう。
2020年に日本を席巻したコロナ禍の再現です。ここ数年、物価高騰しており、ただでさえ食費が重くのしかかっています。大幅賃上げといっても、物価高騰分が上回っており、実質的な手取りは増えておらず、減っています。外食離れはコロナ禍時よりも加速するかもしれません。
とりわけ、中小飲食店にとって大打撃です。コロナ禍をなんとか切り抜け、元気を取り戻しつつある途中です。大手外食チェーンは経営規模を活かした大量仕入れや効率化で一斉に値下げをアピールできますが、個人が経営する飲食店は、原材料高や人件費の高騰を吸収できず、値下げ競争なんてできません。時には赤字覚悟でお店を開くでしょう。
しかも、食料品の消費税率を8%に戻すまでの2年間はレジシステム改修と事務負担、メニューの書き換え、さらに仕入れと売り上げの「税率のねじれ」、インボイス方式による税額計算などに忙殺されます。個人経営する飲食店にとっては、たいへんな経営負担です。
個人を中心にした飲食店で働く人は日本全国で400万人を超えるそうです。家族らを足し算すれば、飲食店での雇用を支えに生活する人は1000万人を上回るでしょう。日本の人口の10人に1人に相当します。
高市首相は一度、町中華でじっくり話し込んで
仮に食料品の消費減税によって円安の進行などで消費物価が一段と高騰すれば、飲食店の経営は客離れと価格競争に仕入れコストの増加が加わり、トリプルパンチを受けます。高齢な経営者は面倒な手続きも含めて事業の継続を諦め、閉店する恐れも出てきます。自動車などと違って目立ちませんが、飲食店が立ち行かなくなれば、地域経済、社会がおかしなくってしまいます。
政府はコロナ禍で実施した「Go To Eat」キャンペーンなど支援策を展開すると思いますが、まだ具体的な施策は見えていません。現状はおっとり刀を絵に描いた感じです。財源措置がないまま、半導体や人工知能に何兆円も投資する大風呂敷を広げているのですから、せめて中小飲食店の救済策を早めに提示すべきでした。
高市首相は一度、町中華に入って店主とじっくり話してみてください。

