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Suicaのペンギン、JAL鶴丸の二の舞? 国民的キャラを捨てるJR東日本の愚策

 JR東日本が2026年9月8日、「Suicaのペンギン」に代わる新しいイメージキャラクター候補3案を公開しました。Suicaが誕生した2001年以来25年間、親しまれてきたペンギンは、2027年3月末に消えます。

ペンギンは27年3月に消える

 国民的なキャラクターである「Suicaのペンギン」です。後継を選ぶのは大変と想像しましたが、JR東日本の選考方法は意外と簡単。誰でも参加できる投票で候補3案から一つを決定します。決定はわずか2週間後の9月23日。短期間で決定する発想自体に呆れましたが、投票結果が下位でも「高輪ゲートウェイ」を駅名に決定した過去の選定事例を振り返れば納得。出来レース。すでにJR東日本内部で後継キャラが決まっているのでしょう。

 JR東日本が高を括るのもわかります。日本最大の公共交通機関です。駅名もイメージキャラもどんな結果であろうと、経営危機に追い込まれる恐れはありません。多少の不満があったとしても、JRを利用するお客はJRを使うしかない。かつての国鉄を彷彿させ、イメージキャラはあくまでも営業戦略の一部と捉え、ブランド価値を過小評価する経営を感じます。

 25年間築き上げてきたブランド価値がJR東日本にとって、とてつもない経営資産であることがわかっていないのです。「Suicaのペンギン」の廃止はブランド戦略の愚策としてビジネススクールの教科書に載るはずです。

JRの信頼と安心のアイコン

 ペンギンのキャラは可愛いアイコンの役割だけではありません。デジタル決済を可能にしたICカードと人間のインターフェースでした。非接触ICカード「フェリカ」を織り込んだSuicaはJR、地下鉄、バスの乗り降り、ショッピングなど多様な利用が可能になりました。ペンギンはSuicaに対する信頼と安心を保証するアイコンであり、JR東日本のサービス全体を象徴するブランドに育っています。

 ブランド戦略は、足し算引き算、あるいは掛け算割り算の数学と違います。机上の計算通りに成功しません。ペンギンが背負う信頼と安心を新しいキャラクターが継承できるのでしょうか。

 Suicaが登場したちょうど同じ頃にブランドイメージの転換に失敗した日本航空の苦い思い出が蘇ります。

 日本航空は2002年、日本エアシステムとの経営統合を機に尾翼に描いていたシンボルマーク「鶴丸」を廃止し、空に向かって上昇するダイナミックな太陽の輝きを表した「サンアーク」に切り替えました。国際線、国内線を合わせて世界トップクラスの航空会社に飛翔する覚悟を示すため、鶴丸に代わる「サンアーク」を採用しました。

 「長年親しまれ、世界の航空会社やお客様から一目置かれていた鶴丸をどうしてやめるのか。全く理解できない」。全日本空輸(ANA)のある役員は鶴丸廃止のニュースを聞いて驚いていました。

日航は鶴丸廃止後、経営破綻

 国内線が主力の全日空は国際線の拡充を加速していましたが、世界中どこに行っても鶴丸に全日空は敵いません。日航の鶴丸は1959年に創案され、1970年にボーイング747ジャンボが就航する頃から尾翼に描かれ、「鶴丸は日本の航空会社」を意味するほど知れ渡っていました。

 全日空が羨む鶴丸の廃止は不運も重なり、失敗に終わります。鶴丸が全機の尾翼から消えた2008年5月の直後、リーマンショックや原油高騰に襲われ、国際線・国内線ともに利用者が激減。巨額の赤字に陥り、2010年1月に会社更生法の適用を申請し、経営破綻しました。

 皮肉にも、一度捨てた鶴丸は2011年4月、再生・原点回帰のシンボルとして復活します。当時の大西賢社長は「初心、原点にもう一度帰ろうという思いで鶴丸を制定した」と説明しました。ようやく気づいたのです。国内外の競争が激化する時にこそブランドイメージが手助けし、その強さを発揮するのです。

 JR東日本は二の舞を演じるのでしょうか。

 JR東日本が新しいキャラクターへ切り替えについて交通系ICカードから「グローバルな生活のデバイス」へと進化させるブランド戦略の一環と説明します。新たな分野に挑戦するためにも、著作権に縛られたペンギンを諦め、JR東日本が自由に使えるキャラクターに切り替えた狙いもあるのでしょう。

Suica独占の時代は終わる

 しかし、Suica独占の時代が終わりました。QRコード、クレジットカードが参入し、Suicaは多くの決済システムの中で埋没してしまそうです。にもかかわらず、最強の交通決済ブランド「Suicaのペンギン」を今、見捨てるのです。他のサービスとの競争が激化すれば、JRに対する親近感は薄れ、Suica離れは加速するでしょう。

「Suicaのペンギン」が復活する日はそう遠くないかもしれません。

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