
三菱UFJなどメガバンク、防衛産業に本格融資 日本も軍産複合体の道を加速
日本のメガバンクが防衛関連産業への融資を本格化します。日本経済新聞によると、三菱UFJ銀行は防衛関連企業に融資するための基準を近く設けます。これまでの慎重姿勢を転換、日本政府の安全保障政策に沿って融資します。他のメガバンクも歩調を合わせるそうですから、これまで影のように支えきたメガバンクが防衛産業でも表舞台に堂々と登場することになります。
三菱は明治以来、富国強兵を支える
メガバンク3行のうちで三菱UFJ銀行が口火を切る役を引き受けたのも頷けます。富国強兵の明治以来、軍事産業を担ってきた三菱です。みずほ銀行や三井住友銀行とは歴史も経験も大違い。三菱グループの主要企業である三菱重工業や三菱電機は、防衛産業の要として今も大きな存在感を放っています。
例えば次世代戦闘機の開発。日本、英国、イタリアで共同開発する「GCAP」には日本側から三菱重工や三菱電機など、英国からBAEシステムズ、イタリアからレオナルドとそれぞれの国で軍需産業を主導する企業が参加しています。
この国際的なプロジェクトはもっと膨張しそうです。次世代戦闘機の開発はフランス、ドイツ、スペインの3国も独自に進めていましたが、こちらの計画は頓挫しており、日本、英国、イタリアのプロジェクトにドイツ、カナダ、オーストラリアが参加する可能性も出ています。三菱重工・電機の役割は一段と拡大するでしょう。
護衛艦でも協力は広がっています。日本と準同盟国であるオーストラリアは、三菱重工が建造する「もがみ型護衛艦」を海軍の次期フリゲート艦として採用しました。日本とオーストラリアはアジア太平洋の安全保障で深い信頼関係を築いており、今後の展開はまだまだ期待できます。
メガバンクにとって防衛関連企業の資金需要は魅力的です。なにしろ、防衛産業は政府から潤沢な資金が流入し、着実な成長が期待できるのですから。
政府は防衛費を大幅拡大
政府は2023年度〜27年度までの5年間、研究開発や公共インフラを含む安全保障関連費を43兆円と従来の1・6倍も大幅に増額。最終年度の2027年度には防衛費を「GDPの2%」をめどに引き上げる方針です。金額で見れば防衛省単体で9兆円近く、関連を含めると総額で11兆円に膨らみます。
もちろん、海外の防衛産業との協力も拡大します。日本は戦後、武器輸出を制限していましたが、2014年に「防衛装備移転3原則」をまとめ、同盟国との防衛協力を名目に輸出を解禁しました。
三菱重工、IHI、川崎重工業など防衛産業を代表する3社以外のニュースも飛び交っています。
楽天グループはドイツの防衛スタートアップ、ヘルシングと提携、同社の攻撃型ドローンを陸上自衛隊向けに提案することになりました。ドローンの国産化も視野に入れているそうです。ロシアのウクライナ侵攻によって、ドローンが戦況を左右する主力兵器になっており、ドイツのメルツ首相が10月に来日するのを機に防衛連携が動き始めるそうです。
楽天やソフトバンクなど新規参入も相次ぐ
最前線の勝負に直結するサイバー攻撃の防衛能力を高まる動きも始まっています。ソフトバンクは防衛省・装備庁との研究開発や、重要インフラをサイバー攻撃から守る先端AI事業などを通じて安全保障分野に関わっています。米OpenAIと連携し、金融や運輸、製造などの重要インフラ企業を対象としたAIサイバー防衛サービスを展開しています。
「軍産複合体」。こんな言葉を知っていますか。政府と軍隊、さらに軍需産業が一体となって軍事力拡大に突き進む政治的な構造を意味しています。
1961年1月、米国のアイゼンハワー大統領が退任演説で、この軍産複合体の危険性を指摘し、自由や民主主義を守るために影響力を排除しなければいけないと警鐘を鳴らし、注目される言葉となりました。
日本の防衛産業は戦後、憲法9条の精神に則って米国などとの協力に限るなど産業としての拡大には歯止めがかかっていました。しかし、三菱UFJなどメガバンクが本格融資すれば、多くの企業が新規参入するのは間違いありません。
日本の基幹産業が知らない間に「軍産複合体」が自動車から代わっていた。そんな日が訪れるかもしれません。

