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日本の恥の独り言「レジはお金の計算できるけど、減税する政府は財源を計算できないみたい」

 高市首相は9月15日、2027年4月から食品の消費税率を2年限定で1%に下げる方針を明記した税制改正大綱を閣議決定しました。中低所得者には2年間、消費税率1%分を給付して実質ゼロ%に。29年度には食品の消費税率は8%に戻しますが、新たな給付制度の導入によって実質ゼロ%は維持する方針です。

5兆円の財源は未定

 食品の消費税率が1%に下がるのですから、生活費が楽になると諸手を挙げて歓迎したいのですが、ちょっと無理。なにしろ、消費減税で失う税収は4兆円以上で1%分を補填する給付金を加えれば、年間5兆円の財源を手立てしなければいけません。

 蛮勇の一言に尽きます。高市首相は年末の予算編成にまで財源の目星がつけるつもりですが、衆院選挙で大勝利を収めた大看板の「食品の消費減税」が補填する財源が未定のまま。思わず「日本の恥」が思い浮かびました。

 「日本の恥」はそもそも高市首相の発言です。5月の参院決算委員会で消費税の税率変更に時間がかかるレジシステムについて、「日本として恥ずかしい」と苦言を呈しました。コロナ禍の時、欧州は消費税率を迅速に引き下げて国民を支援できたのに、日本のレジシステムは改修に時間がかかりすぎて機動的な減収ができないことを嘆いたのです。

アダム・スミスの租税4原則に反するのでは?

 失礼ながら、大いなる勘違い。「隣の芝生は青い」と同じレベル。欧州と日本の違いは、消費税率の成り立ち、経理処理、レジシステムの体系などがさまざまな原因が絡んでいます。日本のレジシステムを製造するメーカーが責任を負う話じゃない。それを「日本の恥」と呼ぶのは、誠に失礼な話。

 レジの勘違いに比べたら、消費減税は足し算と引き算の単純計算です。だれでも正解がわかります。

 消費税は社会福祉を支える主要財源。4割は地方自治体の財源として活用されます。食品の消費減税を実施すれば5兆円が失われる。これは引き算です。その5兆円をどの補填して足し算するのか。

 ところが、現時点は5兆円の目星はありません。誰でもわかる単純計算を高市政権のみなさんが理解できないわけがありませんが、それをごり押しで実行したら日本はどうなるのか。社会福祉や地方自治体は崩壊しまいます。

 資本主義の父と呼ばれるアダム・スミスは、「国富論」で租税の4原則として「公平、明確、便宜、最小徴税費」を提唱しました。そして、この4原則から大きく外れた税を「悪税」とみなして強く批判しました。

 食品の消費減税は一見、租税の4原則に適応する印象を受けます。

 しかし、冷静に眺めてください。減税によって財源が穴が空いたら、社会福祉や自治体経営が足元から揺らいでしまいます。陰に隠れてしまいそうですが、本来なら費やす必要のない巨額の金額が発生するのです。減税施行前と2年後の2度、企業はレジシステムを何度も改修しなければいけませんし、企業の経理部門は膨大な決済処理業務に追われ続けます。日本の事業所数516万すべてに負担がのしかかり、当然、個人商店や農家などに及びます。自治体も税や給付の制度変更に伴う事務作業が加わり、新たな人員増や人件費が膨らみます。

 悪税とまではいいませんが、これは誰がみても無理筋にみえます。

財政悪化で物価高騰したら、減税効果は?

 あまり考えたくありませんが、消費減税の効果が吹き飛ぶ可能性も見逃せません。日本の財政がどんどん借金で悪化し、金利上昇とインフレが進行する一方、円安が再び加速すれば輸入に依存する消費財や原材料は高騰します。食品の消費減税の効果を上回る価格上昇を招いたら、もう悲惨。

 「日本の恥」の独り言が聞こえてきそうです。「レジで目眩ししてもダメ。本当の恥をしっかり直視して」。

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