
スズキ、テスラが輸入車トップに 車ブランドの下剋上が始まった
スズキとテスラが輸入車販売で上位に躍り出てきました。輸入車といえばメルセデスベンツ、BMWなどが高級ブランドとして君臨していましたが、2026年に入ってインド製のスズキがメルセデスベンツを抜き去り、トップの座に。1−6月の上半期では米テスラが外国車の車種別ブランドで第1位に駆け上がりました。
ジムニーノマドの疾走で上半期1位
偶然に起こった大番狂せと勘違いしてはいけません。100年以上の歴史を積み重ねてきた車ブランドの下剋上が始まっているのです。
輸入車販売は、ブランドのヒエラルキーが鮮明に現れる市場です。新車の売れ行きは車本来の走行性能や価格がカギを握りますが、輸入車の場合はブランドが放つオーラがとても重視されます。メルセデスベンツ、BMW、アウディ、VWなどドイツメーカーが長年、上位を占めている所以です。高級時計ととても似ています。
そこにスズキ、テスラが上位に食い込んだのです。スズキは軽や小型車、テスラは電気自動車(EV)と特定のカテゴリーで抜群の強さを発揮しています。とりわけ、スズキは高級ブランドとは無縁(失礼!)で、安くて使い勝手が良い車作りが定評です。
そのスズキが日本輸入自動車組合によると、2026年1−6月期の上半期で3万4288台と前年同期比190・7%増を記録しました。市場シェアは18・2%。輸入車5台に1台はスズキ車となる驚きの数字です。
しかも、メルセデスベンツが2万3064台と7・8%減と落ち込むなどBMW、アウディが軒並み前年実績を割り込んでいるなかで突出しました。輸入車ブランドのヒエラルキーは明らかに崩壊し始めています。
スズキ輸入車はインド製2車種。ジムニーの5ドア車「 ノマド」は爆発的なヒットとなり、2万6682台と全体の8割近くを占めています。24年発売のフロンクスもSUVで、他の日本車にはない個性的なデザインが評価され、安定した売れ行きを見せています。いずれもスズキに対する信頼が裏付けられたインド製だけに、品質に対する不安は見当たりません。
テスラは「モデルY」
テスラは「モデルY」。こちらも6人乗りの小型SUV。米調査会社モビリティ・グローバルの推計によると、約9400台。集計データは日本自動車輸入組合と異なるため、一致しませんが、テスラはじめ大手メディアはこの数字を採用しています。ちなみに2位はミニの約8700台、3位はVW ゴルフの約4300台。
テスラの車種が輸入車首位となるのは初めて。外国ブランドのEVでみると、全体の5割近くをモデルYが占めました。テスラがトップに立った主因は2026年1月から国のEV補助金が増額され、実質価格が下がったうえ、 急速充電ネットワークの充電料金が一定期間無料になるキャンペーンが奏功しました。
スズキとテスラがブランドとして上位に躍り出る事実は、次にヒットするのはモビリティとは何かを明確に物語っています。車のサイズは軽か小型車、多人数が乗れて荷物を積める使い勝手の良いSUV。ちょっと手が出ないと諦めていたEVも公的な補助金を使えば、手に届く範囲に。今後、EVの量産効果が浸透すれば、もっと価格は低下するはずです。
新潮流は小型SUVタイプのEV
世界の新潮流を如実に示しています。もちろん、現在のヒエラルキーのトップに立つトヨタ自動車、ホンダ、メルセデスベンツなど大手もSUVタイプを拡充し、EVの品揃えを増やす計画です。しかし、車を選ぶ基準は変わり、ブランド価値の評価も新陳代謝の時を迎えています。軽、あるいは小型車でSUVのEVを購入しようと考えたら、まず思い浮かぶのはスズキ、テスラ。そんな時代が迫っているのです。
10年後を想像してください。EVが新車市場の主役になった時、どのブランドがトップの座を占めているのか。楽しみです。

