
秋味が消える 鮭の大不漁で人工孵化が危うく、いつかニシンのようにカムバック
サケの資源確保が岐路に立っています。言い換えれば、北海道の味覚の象徴である「秋味」が消える可能性が出てきたのです。
不漁で人口孵化事業が危うく
北海道新聞によると、鮭の記録的な不漁によって道内各地の人工孵化事業を支える基金が大幅な取り崩しを余儀なくされ、親魚の産卵と孵化、そして稚魚の育成が難しくなっています。今年は北海道に回帰する親魚がさらに減ると予測されいるため、「不漁が続けば、あと2年もつかどうか」と事業の継続を危ぶむ声が出ているそうです。
全国でも有数の漁獲高を誇る根室管内さけ・ます増殖事業協会では、昨年度の秋サケは前年度比20・7%減の67万8000匹と激減し、協会を設立した1986年以降で最低の水準に終わりました。人口孵化事業の基金は漁業者が水揚げ高に応じて納めていますが、その負担金は前年度の6億7000万円から2億1000万円まで落ち込み、過去最低となりました。
北海道の味覚が相次いで消えています。覚悟はしていましたが、寂しいというよりもし消えてしまったら、何を食べれば良いのかと呆然としそうです。
函館の特産はイカからブリへ
例えばイカ。昭和30年代に函館で育った私ですが、父親が漁業会社の大洋漁業に勤めていたころもあって、鮭、イカ、カレイはソウルフード。小さい頃は毎日の食事で朝食か夕食いずれかにかならず食卓に並びました。
とりわけイカは函館の特産品。イカの刺身、塩辛、煮付け、一夜干し、スルメ、さきいかなんでも食べました。当時、チューインガムは高級でしたから、スルメやさきいかをガムがわりに噛んでいました。
イカのシーズンに入ると、早朝には「イガー、イガー」と天秤を肩にしたイカ売りの行商さんが住宅街を歩き回り、浜には数えきれないイカが干されるカーテンが連なります。ハエが群がり、本来は白いはずのカーテンが真っ黒に見えるのがかなり微妙でした。調理も覚えました。母親は私に包丁を持たせてイカを調理させ、内臓を使って味付けする塩辛まで教えてくれました。
そんな身近な存在のイカは今や、函館の特産品の座から消えそうです。津軽海峡、太平洋、日本海の海域で年毎に好不漁の違いがありますが、漁獲量は大幅に減少しています。代わりに全く姿形を見かけたことがなかったブリが豊漁となり、函館の特産品はイカからブリへ代替わりするそうです。
気候変動のせいか、魚種も変動
イカは一例に過ぎません。広尾町や鵜川町の名産で知られるシシャモもほぼ口に入ることがなくなりました。漁獲量はトン単位ではなくキロ単位にまで落ち込んでいるそうです。ししゃもといえば、お腹が卵で膨らんだ細長い魚を思い浮かべると思いますが、あれはカペリン、あるいはカラフトシシャモと呼ばれ、全く別の魚。スーパーなどの店頭に必ずといってよいほど並んでいますが、ししゃもの代用魚として輸入しているものです。
今年はバフンウニが不漁になっており、もともと高級品でしたが、店頭で見かけません。
最近、ニシンが豊漁になり、北海道の名産が再生したと喜んでいたら、大好きな「身欠ニシン」は回復していないそうです。魚体が小振りなニシンが多く、干して調理する「身欠ニシン」になるニシンは少ないそうです。この話を聞いた時は、思わず顔の表情は身欠のように歪みました。
秋味が消える原因は気候変動なのか、長年の漁獲のせいなのか。よくわかりませんが、何を食べて「うまい」と舌鼓してよいのかわかりません。

